故郷に帰る度に、毎回複雑な思いだったことがあります。
それは、田舎の父が持つ山や畑のこと。
ほんの僅かな広さだけど、そこは父や祖父、そして私自身が世話をしてきた、思い出の場所です。
当然のことながら、父は私に相続してほしいと願っていました。
しかし私は親の意向に背いて上京し、就職して、東京で結婚し家族を設けました。
畑はかろうじて父が面倒を見ていますが、山はもう無理です。今や荒れ放題となってしまいました。このままでは手放すほかありません。
勿論私の意思で故郷を離れた訳ですが、父の願いをかなえてあげられない後ろめたさと、自分自身の子供の頃の思い出の地が変わっていくことに、毎回心を痛めていました。
今回、久しぶりに山や畑を見に行きました。
もう、昔の面影がほとんどないと言っていいぐらいの変わりようの場所もありました。
それを見て、こう思いました。
「もう、拘るのは止めよう」
これは、自然の流れ。
思い出は思い出として心の中にあるままでいい。
全ては変わっていくものだ。
そして、私は私の人生を歩んでいる。
父の願いは、父の問題であり、私が考えることでは無い。
勿論、すぐに頭が切り替わるわけではありませんが、「そうか~」となんとなく納得できたので、徐々に拘りも薄れていくと思います。
そうすれば、また故郷が違ったように見えてくるかもしれません。
次、帰るときは純粋に故郷を楽しみたいですね。