もう2年以上前でしょうか、ベランダの方から何か聞こえるので見てみると、1羽のハトがいました。
見た目は普通ですが、何だか切なくなるような、苦しそうな鳴き声です。無理やり文字にすると「グゥ~ッ…クルゥ…」みたいな感じ。
レースカーテン越しに目が合ったのですが、逃げようとしません。
何故か私は、「これは…以前に飼っていたインコの生まれ変わりではないか…もしかして会いに来てくれたのか…」と思い、泣きそうになりました。
急激に親近感がわき、苦しそうだし何かあげようか、でも人間の食べ物なんか与えない方がいい、そもそも住み着かれると近所迷惑になる、と思い留まりました。
もう少し近付きたかったので、静かに窓を開けると、さすがに逃げていきました。
「また来ないかな…」と思っていると、1ヶ月もしないうちにまた来ました。
相変わらず苦しそうな鳴き声ですが、「よかった、まだ生きてた…」と少し安心しました。静かに窓を開けると、やはり逃げていきました。
そんなことが何回か続き、半年くらい経った頃でしょうか、また例の鳴き声が聞こえたのでベランダを見ると、2羽います。
何故か私は、「こいつ…女(もしくは男)連れて来やがった…」とショックを受けました。
もしかして、危険のない巣作りの場所を探してただけだったのか、ここでおっ始めようとしてないか、そもそもこいつ鳴き声変なだけで元気だろ、と、急激にムカついてきました。
まさに、ファンがアンチになる瞬間。
勝手な妄想や期待と事実が違ったというだけで、裏切られた、時間を返せ、自分は被害者だと思い込み、一方的に嫌いになるという、この世で最も醜い感情の1つ。
勢いよく窓を開けると、逃げません。
逃げろや!!
何を女(もしくは男)連れてるからってイキってんねん!
と、ついに手を伸ばし自ら追い払いました。
それから1年以上経ちましたが、
まだ来ます。
しかも2羽で。
同じ女(もしくは男)かどうかも分かったもんじゃありません。
月一どころじゃないし、朝6時とかにも来ます。クイックルワイパーみたいなので突き刺す勢いで追い払っても、「ゴキブリのいなくなるスプレー」みたいなのを撒いていても来ます。
最早こいつこそ、アンチの生まれ変わりなのかもしれません。ハト自体は好きです。