お笑い芸人であればもちろん、目の前にいるお客さんを笑わせ、楽しませるのが基本なわけですが、細かいことを言えば、場所によって、こちら側の目的と言いますか、スタンスが変わります。

ざっと分けると、
①ネタを試す
②鉄板ネタ、もしくは分かりやすいネタをやる
③勝負ネタをやる 
④ファン向けにやる

といった感じでしょうか。
「ネタ」ではなく、「トーク」、「企画」などと言い換えることもできます。

小さなお笑いライブ、若手向けの事務所ライブは①(初めて出る場合は②だったりも)、
営業、前説、ゲストとして呼ばれているお笑い以外のイベントでは②、
大規模なライブ、賞レースでは③、
ユニットライブ、固定メンバーで長く続いているようなイベントは④、
だったりします。
単独ライブだと、どの要素も入ってるんじゃないでしょうか。

「鉄板ネタ」と「勝負ネタ」は同じように感じるかもしれませんが、鉄板ネタに必要なのは安定感、はじめて自分たちを見る人にも分かりやすい、自己紹介のようなものです。1番、「仕事」と呼べるものかもしれません。
一方、勝負ネタに必要なのは、強さ。他の芸人と競って勝たなければいけないわけですから、ウケはもちろん、強烈に印象に残るような個性も必要です。分かりやすさや安定感を捨てた方がいい時もあります。

で、何を書きたいかと言うと、ただ勝手に分析して自己満足しているわけではなく、
見る側の人もこういうことを少し知っておけば、より楽しんでもらえるんじゃないかと思ってのことなんです。

もちろん、お客さんにこんなことを押し付けるべきではないのですが、お客さんだってそれぞれ、細かい目的やスタンスが違うはずです。
「お笑いが好きで、とにかくライブを楽しみたい」、「目当ての芸人が見れればいい」、「何かお笑いやってるみたいだから行ってみようかな」、「今日もライブレポ書くぞ〜」みたいな感じで。

なのでどうしても、人によってオススメできるイベントが違うんです。
あくまで僕個人の意見ですが、何でもかんでも「とにかく来てくださいね〜!」とは思わないんです。
そして、誰に対してもそう思えなくなった時、そのイベントに出ることをやめたくなりますw

滅多にない地方の営業やイベントで「またあのネタやってる」と言われても、はっきり言ってどうしようもありません。
飲食店で例えると、いつも来ているお客さんに「こんなメニュー考えたんだけどどうかな?」はあっても、はじめて日本に来た外国人のお客さんに、いきなり創作メニューは出さないでしょうって話です。まずは寿司・天プラなわけですよ。

また、こちら側が気を付けなければいけないこととして、「すぐ④になってしまわないように」というのがあります。
特に吉本に多い!何なんでしょう。
今いるファンを喜ばせることが目的か、イベント自体のクオリティを上げ、新規ファンの獲得も目的としているか、その辺が見えていればそうはならないはずなんですけど、自分たちが楽しいものをお客さんにも、となってしまってるんでしょうか。
こういうのって実は、若手の作家の仕事の1つかもしれませんね。

後、あまりに小さいライブばかりに出ていると、①〜④の区別が付かなくなることがあります。
本当に目の前の、数十人以下のお客さんの何割かを笑わせようとしているだけ。「一生インディーズ芸人」の誕生ですw

僕が主催でやらせてもらった「DBナイト」、「劇団アニメ座DB」は④なのですが、自分たちのファンというより、あくまでDBファンに向けてるんですよ。
だから「お前普段こうじゃないかよ」的な、中の人トークはあんまりしたくないのです。特にアニメ座DBでは、そこを徹底排除しました。エンドトークすらカットしましたw

そういうのは自分のニコ生(ニコニコ動画生放送)でやります。そこは④なのかよ、と思われるかもしれませんが、思いっきり①か④です。無料ですし。

ニコ生ではコメントが目に見える分、④を求められることが多いように感じるんですが、あくまでそう主張している人がいるってだけの話だし、他所のニコ生ではやりません。
他所の趣旨に沿います。「もっと王子出して〜」と思うなら王子の生放送を見ればいいw

けっきょく自分も①と④ばかりなことに気付きました。
③があるのかという問題は置いといて、②が圧倒的に苦手なんです。1番安定してお金になるものが!
③で世間に知らしめた後、自分自身が②になり、大きな規模で④をできるようになった時、売れるのでしょうか。

読み返してみると、皮肉ばっか書いてるし、こんなことを考えなくなるのが売れる近道なのかもしれません・・・