クリニック経営において、診療報酬は日々の医療活動を支える大切な収入源です。しかし、多忙を極める外来診療の現場では、「意図せぬ算定漏れ」が静かに発生しているケースが少なくありません。
審査支払機関(支払基金や国保連)から指摘される「査定(減額)」や「返戻(差し戻し)」はエラー通知が届くため、問題として認識されやすい傾向があります。一方、「算定漏れ」は誰からも通知されず、自院で気付かない限り静かに収益が失われ続けます。
1件あたりは数百点(数千円)の小さな見落としであっても、月単位、年単位で積み重なれば数百万円規模の収益機会の損失となります。本記事では、クリニックで算定漏れが起きる根本的な原因と、それを未然に防ぐ「レセプトチェック」の重要性および実践的な対策について解説します。
なぜ算定漏れが起きるのか?
クリニックで算定漏れが発生する主な原因は以下の3点です。
1. 改定ルールの複雑化 2年ごとの診療報酬改定による新設加算や算定要件の変更を、多忙な現場スタッフが完全に把握し切れない。
2. カルテと医事システムの連携不足 医師がカルテに療養指導や検査・処置の実施記録を残していても、医事コンピュータ(レセコン)へのオーダーや医事連携が正しく行われていなければ請求には反映されません。
3. レセコンの機械チェックに対する過信 現代のレセコンには優秀な点検機能が搭載されていますが、その大半は「病名と処置の矛盾」や「同月内の重複請求」といった減点(査定)を防ぐチェックです。機械が能動的に「加点(取りこぼし防止)」の判断を拾い上げることは困難です。
取りこぼしを防ぐ!レセプトチェックの3大重点ポイント
算定漏れを確実に防ぐためには、レセコンの機械チェックだけに頼らず、人の目と専門知識による「レセプトチェック」が不可欠です。
1. 医学管理料・療養指導料の算定要件確認 生活習慣病管理料、特定疾患療養管理料、外来感染対策向上加算など、指導や体制に伴う管理料は点数が高く、算定漏れによる損失額が大きくなります。
2. 検査・画像診断に伴う各種加算 血液検査や画像診断などの日常的な検査においても、付随する加算の見落としが多発します(時間外緊急院内検査加算、造影剤使用時の加算など)。
3. 処置・手術に伴う薬剤・特定保険医療材料 創傷処置や小手術などにおいて、技術料だけでなく使用した材料や薬剤の請求が抜け落ちていないかを確認します。
まとめ:「攻めの経営戦略」としてレセプトチェック体制を強固に
レセプトチェックは、単なる「事務的な間違い探し」ではありません。 「クリニックが提供した医療行為に対し、正当な対価を漏れなく受け取り、医院の財務基盤を守るための攻めの経営戦略」です。
算定漏れをなくすことは、無理に患者数を増やすことなく、日々の診療成果をそのまま経営の安定へと直結させる最も確実な手段です。
自院の人員だけで完璧な点検を行うことが難しい場合や、スタッフへ過度な負担がかかる場合は、外部のレセプト点検・請求代行サービスを活用するのも有効な選択肢です。
医院の持続可能な未来のために、ぜひ一度レセプトチェックの体制を見直し、取りこぼしのない強固な請求フローを構築してみてはいかがでしょうか。