昨日、近くのスーパーで
飲料水を汲んでいると、私をみていたおばぁさんが声をかけてきた。

「よく、汲んで帰る人見かけるけど
やっぱり水道水より美味しいのかしら?」

見ると、500mlのペットボトルを手にしている。

「そうですね。
水道水、塩素くさくって、、
時間かかるので、お先にどうぞ。」


ニコッとしたおばぁさんは
「あら、いいのよ!
どうせ私、暇で時間持て余してるんだもの」


2Lのボトルに水を汲む私に向かって

「あなたの黒いワンピース、お似合いね!
私があなたぐらいの頃は、、、」

とおしゃべりが始まった。


3本の水を汲み終えても
話は終わらない。

それから1時間半
おばあさんの自慢話を聞く羽目になってしまった。



子供が学校の先生で
プレゼントに五万円の靴を二足買ってくれた事

その靴を履いて毎日ウォーキングして健康なこと


自分は大手の会社の1番の稼ぎ手で
それはそれは妬まれた事
また、同僚をうまく転がす方法


歌を歌っては賞を沢山いただいて
引っ張りだこだった事

一緒に出た歌手が整形していること


部長の奥さんが浮気されていた事を
しっていたこと


たまたま買い物にきた
顔見知りの人が
施設の出で、身体を売り物にしていた事


フォークダンスもやっていたし会長にもなった事

ダンスの、教える資格もあること


会計のお友達がくるまで
ずーっっと

逃げる隙を与えず
質問すら許さず
壁に私を追い込んで話し続けた。

壁に張り付いている時計に何度か目を配る。
特に予定も無いし、、仕方ない、付き合うか。


今思えばなんだか自分が滑稽で笑っちゃう。


それはそれは貴重な他人の過去の話だった。


私にとっての人生に影響のない時間だった。

ただ圧倒されて買い物する気も失せた。



だけれども
あの、おばぁさん、元気だったな。
ワクチン打ってないのかしら?
それだけは聞いてみたかった。

みんな友達が死んで悲しいとも話してた。


そう言えば
施設出だと言われていたあの彼女

そういうデリケートな話は
他人が言って良いものじゃないと思う。


それだけは
次会ったら伝えようと心に決める。

五分ぐらいに手短に。