へこんでいました。
というより、へこんでいます。


土曜日、久しぶりに彼に会いに行きました。
天気もいい三連休、軽井沢にでも行きたいなーなんて思いながら。
それより彼に会うのが楽しみでした。

今回は二泊できる!と。


駅で、彼から電話がありました。
「今、駅に着いたからこれから行くね。」と言って電話を切り、トイレに行って歩いていたところまた電話が。
「どこにいるの? 時間かかりすぎだよ。」と苛立っている様子。
今、○○だから・・というと、何やっているの?と。
確かに駅からは彼の足では5分ほどの距離。
だけど、私はトイレに行き(ストマの処理に時間がかかる)無理に早足になることもなく、貧血っぽいのもあるのでゆっくり歩く。
それも分かっているはずなのに。


会うと案の定苛立っていて「何でこんなに時間がかかったの?」と。
だから言いました。
トイレに行っていたこと。
ゆっくり歩いてきたこと。
すると、「普通に早歩きができないなら、やっぱり具合が悪いんじゃない? 無理して来なくていいんだよ。家でゆっくりしていなよ。」と。


なんで分かってくれないの?
悲しくて涙が出てきてしまいました。

で、そこからいろいろ話が始まってしまいました。


結論から言うと、彼は実は心配しすぎてもう辛いということ。
(この日、私が遅かったのも心配して苛立ってしまったらしい・・。)


病気を知ったときの辛さ。
お見舞いに行ったとき、車椅子に乗って体から管が出ている私を見てショックだったこと。
ほんの1か月前はアフリカで一緒に、それもあんなに元気にはしゃいでいた私を見ていたのに、そんなになってしまった私を見て、お見舞いに行く勇気がなかったこと。
あのときは本当にすまなかった。


正直、怖くてこの一年間私の病気については調べたことはない。調べたくなかった。
でも「がん」は治らない病気だと思っている。
「がん」になって職場復帰なんて出来ないと思っている。
私が職場復帰したいと言っていることも、そんなことしていいのか心配だ。


彼の周囲にはがん患者がいないので、かなり勘違いをしています。
それは違う、と懸命に説明しました。


何度も言っているように、今は治療の副作用で感染しやすいから、熱が出やすかったり疲れやすかったりする。
治療が終わったら職場復帰だって出来るし、今だって調子がいいときは活動的になれるし外出できる。
実際、今までそうしてきたでしょ?
家でゆっくりすれば治るものでもないし、外に出て楽しむ方が免疫力も上がって治療にも前向きになれるんだよ。


すると、
じゃ、外に出て遊べは治るという医学的根拠はあるのか?
家でゆっくり寝ていると治らないという医学的根拠はあるのか?
普通に考えたら、副作用があるなら家でゆっくりいてして外に出ない方がいいに決まっている。
れひはそれで楽しいからいい、気分転換になるからいい、と思っているかもしれないけど、心配しながら一緒にいるオレの気持ちを考えたことはある?
熱が出た、といえば病院に連れて行くよ。

今まで2回あったよね。

オレの家だったからよかったよ。片道2時間ぐらいだからまだいい。

別の場所でそんなことになったらと思うと心配だよ。
でも、いつそうなるか分からなくて、「どこかに行きたい」「週末、泊まりに行く」って言う度に心配してばかりいるんだよ。
明日だって「軽井沢に行きたい」っていうから行こうと思っていたけど、本当は連れて行っていいのか不安なんだよ。
心配してなければ、れひが大丈夫だって言えば南米だってどこだって一緒に連れて行くよ。

一緒に行きたいよ。
でも、何かあったとき何も出来ないんだよ。


すぐに病気のことを受けれてもらえるとは思っていない。
私だって、1年経ってやっと気持ちの整理がついてきたぐらいだから。
ただ、「出来ること」と「出来ないこと」を考えて「出来ること」の範囲内で一緒に過ごしたい。
やっと、前向きにいろいろと考えられるようになってきたところなのに、何でいきなりそういうこと言うの?
私だって家族だって、今まで一緒にあなたと過ごせていること、感謝しているんだよ。
病気のことを知りたくない、受け入れられないならそれはそれでいい。
ゆっくり考えてもらえればいい。
病気のことを気にしていない、逃げているならそれはそれで今はいいって思っていた・・・。


ねぇ、オレだってそんなにアホじゃないよ。
がんだって聞いて気にしない奴なんている訳ないでしょ。
れひが一番辛いのは分かっているよ。
でもオレだって辛くてたまらないんだよ。
家族だってそうだろうし、周囲の人たち、みんな一人で悩んでいるよ。
それでも、家族はお互い話しているかもしれないよね。
でも、オレは誰にも言えないし一人で悶々としていた。
普段は仕事をしていて考えないにしても、一人で夜寝るとき朝起きたとき、考えちゃうんだよ。
今日、初めてオレから「がん」っていう言葉を言ったよね。
今まで一度も言えなかった。

意識して言わなかった。


彼がここまで悩んでいるとは、思ってもいませんでした。


でも、その後もっと私にとって悲しい言葉を聞くのです・・・。

その言葉を思い出すたび、涙が出てきます。
毎晩泣いています。
もうダメです。


全然、私は強くなんてなっていませんでした。
現実は、そう甘くなかったのでした。


長文になってしまったのでまた今度。