学校での授業以外に、放課後の児童向けの
アフタヌーンクラスと、大人向けの
イブニングクラスはそれぞれに特徴があって
面白かった。
アフタヌーンでは小学校3年生と1年生の
姉妹が私の生徒。見た目にも可愛くて、お母さんは
教育熱心。お母さんが「じゃあ今日もお願いします」
という一言を残すまでは敬礼でもしそうな勢いで
笑顔を振りまく。 
母親がいなくなると天使の笑顔が悪魔に変わる。
お姉ちゃんはriceを言えなかったことが
面白かったらしくliceは食われへんわなアと毒づき、
妹は折り紙と叫びまくる。
本当に手を焼いた子達。でもお別れのときは二人
号泣して「SAYONARA」と言ってくれた。 
イブニングクラスではラジオDJや地元の
ニュースキャスターなどが生徒として来てくれたり
して楽しい時間を過ごした。
一番印象に残っているのは、父親がアメリカ人で
母親が日本人であるというアメリカ兵のリックさん。
沖縄出身で日本料理が好きで日本をこよなく
愛している人だった。お好み焼きととんかつ
パーティーをしながらの日本語レッスン。
私は戦争の話のときに、日本人はもっと自国の
歴史を学び各国の人と議論をし、いろんな質問に
答えていくべきだというような趣旨の発言をした。
そのころはかなり議論も白熱したので英語での
やり取りだったように思う。リックさんが諭すように
でもはっきりと言った。
「お金の問題じゃない」と。
私はどうやらanswerを使う場面で、answer for
という表現をしてしまったらしく誤解を招いた
ようだった。普段、本当に温厚なリックさんが
少し語気荒くしゃべっているのを見てリックさんの
今までの歩んできた道と、だからこそ日本料理を
愛し、日本語を大切にしたいというリックさんの
想いをひしひしと感じた。
言葉は単に言葉だけが存在するのではない。
いろんなものをしょって、いろんなものを
伝えるためにあるんだということを痛切に感じた。
ハーレーダビットソンに乗るかっこいいリックさん。
あるときから、hotmailのアドレスにメールが
届かなくなった。
言葉を教える仕事をしながら、言葉だけでは
どうにもならない世界があることを肌で感じている。
でもやっぱり言葉を教えたい。
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