③ 卵子の老化
不妊について家族の間でさえ触れることを避けてきた日本
自らの体験が活かされればと実名で応じてくれた永松昭洋さん41歳ルミ子さん38歳
昭洋さんは精子を作る機能の障害があり、
そのことで周囲から心ない言葉をかけられてきました。
「子供がおらんの?」
と言われるたびに
彼女の名誉を守るために
「俺ができないんですよ」とずっと口癖みたいに言ってきた。
今度は妻も俺をかばって「私も子供はいらないから」って
こどもを諦めてた二人
気持ちが変わったのは2年前でした。
るみこさんが婦人科の医師から子供をつくるなら時間がないと告げられたのです。
一緒に不妊治療を受けようと夫に切り出しました。
「やっぱりタイムリミットというかそういうのがあるんだと思って
できないって決めつけて時間がたった後で後悔するよりも
ちゃんと言わないきゃいけないと思って伝えたんですよ」
ルミ子さんの言葉が昭洋さんの気持ちを動かしました。
「お願い一緒に頑張ってよ。私だけでは限界があるから」
昭洋さんの治療が出来るところはないか、二人は50以上の病院にあたりました。
ようやく辿り着いたのが、
山口大学医学部付属病院
白石晃司 医師
micro-TESE(MD-TESE)マイクロテセ
と言われる手術
男性の精巣を切り開き、わずかに作られている精子を顕微鏡で探しだします。
日本には10年ほど前に導入されましたが、手術が出来る病院は限られています。
この手術によって昭洋さんは正常な精子を9つ採取することが出来ました。
二人は今月から体外受精を取り組んでいます。
医師から38歳のルミ子さんが出産できる確率が決して高くはないと言われています。
道は険しくても二人で支えあっていこうと決めています。
「二人の一生 将来 未来をかけてすることだから
一回夫婦でしっかり向き合って
けんかになってもいいから思いっきり話し合う重要な問題ですよ。
どんな結果であっても前に進んでいかないといけないと思います」
鳥取県
見尾医師
43歳の妻 体外受精を9回試みましたが 卵子を取る事が難しくなっていました。
見尾医師はこのまま治療を続けるかどうか夫婦でじっくり話合ってほしいと伝えていました。
二人は半年間話し合った結果 治療を続けることをやめる報告にきたのです。
「心の中ではまだ残ってますけど、自分の置かれた運命を受け入れて
自分を納得させている最中です」
見尾医師
「肝心なのは これからの人生を有意義に楽しく充実させて生きることなので
こういう経験で最善を尽くして頑張って 別の生き方を決断されるのはとっても尊いことだと思います」
子供が欲しいと強く願っていた二人
このクリニックを訪れ、治療を諦めて去っていく夫婦は年間100組にのぼります。
見尾医師
「悔しい どっかで育つかなとやってきたから悔しい」
もう少し早く二人で出産を考えてくれたら
夫婦の辛い姿を見る度に 募る思いです。
不妊治療を経験をした8000人以上の声 自分と同じ思いをしてもらいたくない。
今の状況が変わってもらいたいとつづられていました。
40歳女性
「産みたいのに産めない苦しみは精神的にきつい
不妊治療がどれくらい深刻なことか理解してほしい」
45歳女性
「女性個人の問題としてではなく、社会問題として取り扱って欲しい
妊娠して当たり前、妊娠出来ないのはあなたが悪いという社会の考えを根底から崩さないと
不妊治療に取り組んでいる女性は救われない」
43歳
「もっと早く子供をもうけておけばよかったと思っても今更戻れない
こういう思いをしている人がたくさんいることを若い方々に知らせて下さい」
私たちの社会が生み出した 新たな不妊
これまで見過ごされてきました。
産みたいのに産めない
この叫びをどう受け止めるか
今 問われています。