2014年4月2日とうとう井上亘が引退してしまった。
頚椎椎間板ヘルニア・右変形性肩関節炎・右大胸筋断裂。見守る全員が涙する中、亘は笑顔を絶やさず
晴れやかだった。
ヘビー級になってから井上を非難する声が多かったが、プレデビューやジュニア時代を知ってる者なら
「こんなもんじゃない!どうしたんだ?」と思ったはず。
もっちゃりしたストラングルホールドを早くからスタイリッシュにトライアングルランサーに昇華させ、NOAHの対抗戦ではローリング、スーパジュニアでは脚もロックさせ常に進化し、相手を撃ち抜くようなエルボー、自身の脚を掴む変形卍固め。決してセンスは悪く無く魅力的な技と試合で心を掴まれた。
個人的にはエプロンパワーボムが大嫌いだった。
恐らくこれが井上の選手生命を縮めたと考えている。実際、イタリア遠征中ノートンからこの技を受けて欠場し本命視されてたスーパージュニアも敗退。
IWGPタッグ戦でもバーナードから受けて頸椎捻挫している。会社はどうして容認しているのか?それとも
強要しているのか?すぐに封印して欲しかった。
欠場を報告した時に右手は永田と比べかなり細い。
引退を決めてから、対格差のある相手から理不尽な技を受けっ切ってこそがヘビー級との持論が出たが
頑固な部分が悪い方向にでた。
青義軍×鈴木軍の試合でセコンドで登場。場外では攻撃も受けた。試合中は攻撃も返せなかったし返さなかった、リングも上がらない所にポリシーも感じた。
レスラーとしてはもう戦えないのが分かるほど状態は悪かった。井上本人、ファンもそれを再確認して
納得できたが涙が止まらかった。
メインの棚橋本間×柴田後藤も解説のミラノが
「本来は本間選手の位置に井上さんが立つはずでそれを託した」とあったがヘビー転向後、井上と棚橋とのタッグは記憶に無い。この辺も安易な共闘よりヘビーで結果を出して棚橋と戦う事を決めていたはずだ。
柴田とのシングルやタッグ結成、井上柴田棚橋の
3メンタッグ。中邑、みのる、石井へリベンジ。オカダとの遭遇、永田へ師匠越え。まだまだ観たいカードは
沢山ある。セレモニーで棚橋とのロックアップにその
思いがこみ上げた。
試合後に柴田からマイクや井上がリングへ呼び込むような展開は無かったが、井上の最後のマイクは名言を残すような練った言葉を一方的に話すのでは無く、
途中のコール&レスポンスが人柄を表していた。
「ありがとう!」
「あ、そんな! こっちのほうこそ。ありがとう」
「感動をありがとう!」
「ああ! うれしい! うれしい!」
今もこの部分で涙が止まらない。嬉しい事は嬉しいと素直に言葉にできる素敵さが井上亘最大の魅力だ。
苦悩を突き抜け歓喜に至った彼はずっと笑顔だった。座右の銘そのままに生きる事も凄い。絶やさなかった笑顔にたどり着くまで絶望や悔しさ、涙、悩みが分かるからこそ皆泣いていた。それをすべて包み込むような亘の笑顔がまた涙を誘う。
こんな引退セレモニーは二度と無いだろうし
こんな感情で選手を見送る事は無いだろう。
願わくばそう思える選手が今後出てきてほしい。