「腎臓一つくれる?」透析をしている私から夫へ聞いた。
「いいよ。」
「はぁあ」今売り出し中のマチャマチャよろしく聞き返した。
冗談じゃなくて血液型が違っても出来るんだって。
透析から移植とネットサーフィンをしていた私に、最近の免疫抑制剤の進歩により驚くほど成功率の高くなった移植の話が目に留まった。
自分がどうのと言うのではなく、クリック一つで自分の好奇心を満たしていた。
90代後半の成功率
O型からA型が相性がいいんだー
年齢的にも最後だなー等々
何か私たち丁度いいんじゃない。
そして先ほどの言葉になったのである。
まさかそんな答えが返ってくるとは夢にも思わずに。
夫は全くの健康体。保険会社に掛け金返せと言いたいくらい丈夫である。
そんな夫の体にメスを入れるなんて出来ない。
だから無意識に出た言葉である。
だから間髪いれずに帰ってきた言葉を本気と捉えることは出来なかった。
だが、この日から私たちの移植へ向けての第一歩がスタートしたのである。