江東区にある深川江戸資料館が7月にリニューアルしたとのことで、


行ってきました。と言っても、リニューアル前の姿は観ていないので


ビフォーアフターの比べようがないのですが・・・。



去年あたり歴女なる方々がもてはやされていましたが、どうも彼女


たちは戦国時代が専門のようですね。私も戦国時代は江戸時代の


前なので多少知識としてはありますが、やっぱり江戸の文化のほう


が、おもしろい。なので、江戸が舞台のドラマを観たり小説を読んでは


町人たちの暮らしぶりに思いを馳せていた今夏なのでした。



そんな私に江戸の長屋暮らしを疑似体験できるこの深川江戸資料館


は、有り難い存在で、もちろん十分に楽しませていただきました!



資料館の中は江戸の一つの町が再現されているので、一歩踏み込め


ば、そこはもう江戸の町中。靴を脱いで実際に長屋の中にも入れるし、


置いてある物にも直接触ることできるので、江戸の暮らしぶりが


リアルに伝わってきます。「使っている物なんかは案外今と変わらない


んだな~」とか「やっぱりこの時代の人は背が低いから天井も低いん


だな~」とか改めて実感しました。商人の長屋は二階建てで、厠も


それぞれの家ごとに付いていて裕福な暮らしぶりが分かります。


貧しい長屋は一家族一部屋で、かつ厠も長屋で共同、しかも厠の扉


下半分しかないので、プライベート空間丸見え・・・。今の日本人に


耐えられない環境ですね。稲荷ずしや天ぷらの屋台もあったけど、


味は今とは違う気がするんですよね。材料も貴重だったろうし。夏場


は、どう保存してたんだろう。なんて一人で盛り上がって観ていたら、


結構な時間が経っていたらしく一緒に行ってくれた方に「後から来た


人たちのほうが、とっくに帰っているよ」と言われてしまいました・・・。



ところで、この深川江戸資料館、司馬遼太郎さんも生前行かれたこと


があるらしく、著書の【街道をゆく36 本所深川散歩、神田界隈】の


最初のほうにちょこっと触れられております。数行ではありますが、


江戸っ子の長屋を想像するには深川江戸資料館から適当なものを


見つくろえばよい。的なことを、言われています。



ちなみに、資料館に行く前に腹ごしらえ、というわけで都営新宿線


森下駅のすぐそばに煉瓦亭があるのでオムライスをいただきました。


銀座にも煉瓦亭があるのですが、森下はのれん分けした店舗らしい


です。お母さんが作ったような、ケチャップがのっかった、卵がフワフワ


じゃないオムライス。好きなんですよね。美味しい。で、資料館に


行きがてら、「元祖カレーパン」とパン屋ののぼり発見。


気になって帰りに寄ったら、売り切れてました。残念。



村上春樹の短編小説です。


短編集 【パン屋再襲撃】(文芸春秋) の最後に入っています。


1986年の作品です。まだバブルの頃ですかね。



主人公は特に理由もなく仕事を辞めた30歳の「僕」。


家でスパゲティーを茹でていると謎の女性から電話が。


「十分だけ時間をほしい。そうすればお互いわかりあえる」



              ◆



妻に頼まれていなくなった猫を探しに路地裏に入ると、


鳥の石造がある古い家を発見する。


ぼんやりしていると向かいの家の裏庭から女の子が


話しかけてきて・・・。


                   

主人公の言葉を借りるなら


「出鱈目な年の出鱈目な月の出鱈目な一日」


の出来事です。


スパゲティーを茹で、シャツにアイロンをかけ、ガス水道料金の


払込をして、洗濯物を取り込んで、妻が帰ってくるまでに夕飯の


支度をすませる。


現在なら「僕」の立場はニートor主夫ってところです。



「僕」の人生はごく普通に生きてきた結果、突然自分が


かつての自分でなくなっていることに気付く。


「僕」はどうやら太陽系でたとえるなら土星と天王星の中間地点


あたりまでずれてしまった。



その「ずれ」感は目には見えなくてもジワジワと「僕」の周囲を


狂わせていきます。


夫婦のかみ合わない会話。


いなくなってしまった猫。


謎の女の電話。


何か良からぬ事が起きる前兆のようで、奇妙な雰囲気がします。


ただ、オチのようなものはありませんので、多少消化不良気味です。



この短編の発展したのが、長編小説【ねじまき鳥クロニクル】(新潮社)


1994年の作品です。


登場人物も増え、内容もグッと奥深くなります。


謎もいくつかは解決されます。新たな謎も増えますが・・・。



「1Q84」というタイトルを知った時、ねじまき鳥~と同じ時代が


舞台らしいので何か意味があるのかと思ったのですが、最近の


作者のインタビューを読んだらただの偶然とのこと。ちょっとがっかり。


1Q84・・・まだ読みたいモードにならないんですよね。


近頃、長編を読む気力が湧かなくて・・・。






この映画はビートルズの曲を出演者たちがカヴァーして


歌う、ミュージカル映画です。(2008年日本公開)


主人公の名前はジュード 「Hey Jude


ヒロインの名前はルーシー 「Lucy In The Sky With Diamonds


出演者はみんなビートルズの曲名から名前が付いています。


時代は1960年代。そんな頃に出会った若者たちの


青春ストーリー。といったところです。




イギリスのリヴァプールで働くジュードは、まだ会ったことのない


父をさがしにアメリカに旅にでます。


ところが実際会った父はジュードにあまり良い顔をしてくれません。


がっかりするジュード。でも新しい仲間マックスたちと出会い、


意気投合します。そしてマックスの妹ルーシーと恋に落ちます。


しかし、マックスにとうとうベトナム戦争へ徴兵される時が・・・


ジュードとルーシーの間にもだんだんとすれ違いがでてきて・・・




これらの場面にそれぞれぴったりな選曲と、歌う出演者たち。


そして、奇抜な演出。


特に秀逸なのがマックスが徴兵検査を受けるシーン。


たくさんの徴兵された若者たちが、どでかい自由の女神をかかえ


I Want You She's So Heavy」と歌うところ。


なんていうか、圧巻です。




他にも、


ボーリング場で、ボールの代わりにジュードと仲間たちがレーンの


上を滑りだして「I've Just Seen A Face」を歌い、とうとう場内中で


歌い踊るの大騒ぎ。楽しくてしょうがない若者たち!




落ち込んでクローゼットの中に閉じこもってしまった仲間を慰める為に


Dear Prudence」を歌う、ジュード、マックス、ルーシー。


歌声に誘われて仲間がクローゼットからでてきた時、そこはまるで


空に浮いているような雲の世界が広がっていて・・・幻想的ですね。




戦場に行ってしまったマックスを思いながら苺をキャンパスに釘で


刺していくジュード。「Strawberry Fields Forever」。


苺から流れる赤い滴は、戦場で流れる血を連想させます。




とにかく33曲もあるので紹介しきれませんが、どれもこれも印象的な


場面ばかり。




主人公を演じたジム・スタージェス


ヒロインのエヴァン・レイチェル・ウッド


二人とも歌声もすごく自然で良かったです。




しっかりした構図やダンスシーンは監督ジュリー・テイモアが


ブロードウェイなどで活躍する演出家であることが納得できます。


映像としてもここまで表現できるなんて素晴らしい。




ビートルズファンでなくても十分楽しめます。


私も特別ファンって程でもないので。




ちなみに私が好きなシーンはやっぱりラストですかね。


All You Need Is Love」。




ところで、コアなビートルズファンはこの映画をどう思っているのかと。


映画公開当時、都内の某所で働いていたのですが、ランチでたまに


行く喫茶店のマスターがまさにコアなファンの方みたいで。


店内で流れる音楽、映像は全てビートルズ。そこら中にビートルズ


グッズが置いてあって。マスターの顔もなんとなくジョン・レノン風。


でもマスターと喋るのは注文の時だけなので特につっこむことも


なかったんですが。


でも、ある日この映画のチラシが壁に貼ってあるのを見つけまして。


てことは、コアファンのマスターもこの映画公認てことですかね。


なんだか、ほっとしました。