誹謗中傷の投稿者を安く訴える方法
令和7年、スマホやインターネットの普及に伴い、SNSや掲示板、ブログなどのオンラインプラットフォームを通じて、誹謗中傷が横行するようになりました。匿名性が高いインターネット上では、自分の意見や感情を自由に発信できる反面、他人を傷つけるような誹謗中傷の書き込みも多く見受けられます。特に、名誉毀損や侮辱的なコメントを受けた場合、それが個人や企業に対する深刻な影響を与えることもあります。こうした場合、法的手段を講じて投稿者を訴えることが考えられますが、費用がかかることや手続きの煩雑さから、躊躇してしまう方も少なくないでしょう。
そこで、この記事では「誹謗中傷の投稿者を安く訴える方法」について、弁護士を利用した方法、裁判所を通じた手続きの流れ、さらには費用を抑えるための工夫などについて解説します。
1. ネットの誹謗中傷とは?
誹謗中傷とは、他人を意図的に傷つけたり、名誉を毀損したりする目的で行われる不正な言論活動を指します。具体的には、他人を侮辱するような言葉を使って、その人の社会的評価を低下させるような行為です。日本の刑法では、名誉毀損罪や侮辱罪として規定されており、誹謗中傷が行われた場合、法的措置を取ることが可能です。
インターネット上で行われる誹謗中傷は、匿名性が高いため、被害者が投稿者を特定することが難しく、その結果、法的対応を取ることが遅れる場合も多いです。しかし、近年では、プロバイダ責任制限法に基づき、インターネットサービスプロバイダーに対して開示請求を行うことができるようになり、投稿者を特定する手段が増えてきました。
2. 誹謗中傷に対する法的手段
誹謗中傷に対して法的手段を取るには、大きく分けて以下の方法があります。
- 民事訴訟: 誹謗中傷によって被った名誉毀損や精神的苦痛に対する損害賠償を求める方法。
- 刑事告訴: 誹謗中傷が犯罪行為として成立する場合、刑事告訴を行い、加害者に対して罰則を科す方法。
どちらを選ぶかは状況により異なりますが、一般的に民事訴訟の方が被害者側にとってわかりやすく、迅速に対応できることが多いです。民事訴訟では、投稿者から損害賠償金を請求することが可能です。
3. 訴訟費用を安くする方法
誹謗中傷の投稿者を訴えるにあたり、最も気になる点は「費用」です。弁護士に依頼すると、どうしても費用がかかるため、訴訟を起こすことに躊躇する方も多いでしょう。しかし、弁護士費用や訴訟費用を抑える方法も存在します。
(1) 弁護士費用の一部負担を利用する
日本では、弁護士費用を安く抑えるために「法テラス(日本司法支援センター)」を利用する方法があります。法テラスでは、経済的に困難な状況にある方に対して、弁護士費用の一部を立て替えてくれる制度を提供しています。つまり、一定の条件を満たせば、弁護士への支払いを分割にしたり、全額または一部を後払いにしたりすることができます。
法テラスを利用する場合は、事前に申請が必要です。自分の経済状況が要件に合っているかどうかを確認し、申請手続きを行いましょう。また、法テラスに登録している弁護士を選ぶ必要があるため、注意が必要です。
(2) 弁護士費用の比較
弁護士事務所によって料金体系が異なります。特に、誹謗中傷に関する案件では、弁護士費用が高額になることがありますが、複数の事務所に相談してみることで、相場よりも安い費用で対応してくれる事務所を見つけることができる場合もあります。
また、初回相談無料を実施している弁護士事務所も存在します。こうした事務所を利用して、まずは相談をしてみることも一つの方法です。その際、弁護士に依頼する前に、具体的な費用について十分に確認することが大切です。
誹謗中傷の相談は法テラスがおすすめ
(3) 小額訴訟を利用する
誹謗中傷による損害額が少額である場合、民事訴訟ではなく「小額訴訟」を利用することも選択肢の一つです。小額訴訟は、簡易に行うことができる訴訟方法であり、訴額が60万円以下の場合に利用できます。この方法では、裁判所に提出する書類が簡素化されており、時間も費用も節約できます。
小額訴訟は、通常の民事訴訟よりもスピーディに進行するため、早期の解決を望む場合にも有効です。ただし、訴額が小額に限定されているため、損害賠償額が大きい場合には利用できません。
(4) 和解を検討する
訴訟を起こしても、最終的に和解で解決するケースも多いため、和解案を提示することで費用を抑えることができます。特に、弁護士を通じて交渉を行い、投稿者に謝罪や賠償金を求めることで、裁判を経ずに解決できる可能性もあります。和解による解決は、訴訟にかかる時間や費用を大幅に削減することができるため、双方にとってメリットがあります。
4. 訴訟以外の手段で解決する方法
訴訟を起こすことが必ずしも最良の方法ではない場合もあります。誹謗中傷の投稿者が匿名の場合、訴訟を起こしても、相手を特定することが難しいことがあります。そこで、訴訟以外の手段で解決を図る方法もあります。
(1) インターネットサービスプロバイダーへの削除請求
まず、投稿者が匿名である場合でも、投稿を行ったウェブサイトやSNSの運営会社に対して、投稿内容の削除を求めることができます。プロバイダ責任制限法に基づき、運営会社に削除要請を行うことで、誹謗中傷の投稿がインターネット上から削除されることがあります。
削除請求の際、一定の証拠を提示する必要があるため、誹謗中傷のスクリーンショットや、投稿日時などを保存しておくことが重要です。
(2) 警察への相談
誹謗中傷が犯罪に該当する場合、警察に相談し、刑事告訴を行うこともできます。刑事告訴が受理されると、警察は捜査を行い、加害者が特定される可能性があります。特に、虚偽の事実を広める名誉毀損罪や、侮辱罪が成立する場合、刑事手続きによって加害者に罰則を科すことができます。
5. 結論
誹謗中傷の投稿者を訴える方法について、法的手段を講じる際には、費用を抑えるためのさまざまな工夫が可能です。法テラスを利用したり、弁護士費用を比較したり、小額訴訟を選んだりすることで、金銭的負担を軽減することができます。また、訴訟以外の手段、例えば投稿の削除請求や警察への相談も、効果的な対応方法となることがあります。
誹謗中傷に遭った場合、迅速かつ冷静に対応し、必要な法的手段を選択することが重要です。