「うつ病の薬について考える④」
~効きやすいうつと効きにくいうつ~
今回は抗うつ剤が効くうつと効きにくい
うつについてと、少し視点を変えて薬だけ
でなく、栄養素や身体のメカニズム等から
回復させていく可能性についてです。
抗うつ剤が効きにくい、うつというのが
あります。
それが最近認知されるようになってきた、
「新型うつ」と呼ばれるものです。
「新型うつ」とはどのようなものかと
いうと、これまでのうつは中高年に多く、
症状は気分の落ち込みや不安、不眠などが
典型的。
一方、「新型うつ」は、20代から30代の
若い人に多く、症状は気分の浮き沈みが
激しい、衝動的な行動をとりやすいなどの
特徴があります。
新型うつは、従来のものに比べ症状が
多様であり、そして通常の診察では見極め
づらいため、診断が難しいようです。
従来のうつは服薬でかなり回復が見込める
のですが、「新型うつ」は従来のうつよりも
気質的な問題があり、薬での回復が難しい
ようです。
生活習慣などでうつに効果があると思える
事を紹介していこうと思います。
・タンパク質を十分に取る。
タンパク質は体内で20種類ほどのアミノ酸に
分解され、このアミノ酸が血液を通して脳内に
入り、セロトニンやGABAなど、心の安定に必須な
神経伝達物質が作られます。
・ビタミンB群やミネラル、鉄分を取る。
ビタミンB群やミネラル、鉄はアミノ酸から神経
伝達物質が生成されるときの補酵素として重要な
働きをします。
食材から取るのがベストですが、サプリメントでも
大丈夫なようです。
・1日の食事量を増やす代わりに、1回の食事量を
控えめにする。
これは空腹な状態を作らないためです。
気を付けてほしいのは、増やすのは食事の回数で
あって、量ではない、ということです。
空腹になると不安な気持ちになってしまうという
方はいると思います。
これは、人間の本能的な部分に作用している
もので、空腹になると身体は栄養分を欲する
ように脳に働きかけるのですが、それと同時に
生命の危機に関わると感じるので、本能で不安
になってしまうようです。
・糖質を多く含む食材を避ける。
人によりますが、うつになりやすい人の多くは
低血糖症であるといわれています。
これは、血糖値(血液中のブドウ糖濃度)が
急激に上昇することにより、すい臓から
インスリンという物質が分泌され、血糖値を
下げるのですが、低血糖症の人は、血糖値が
下がりすぎてしまうのです。
そうすると、脳にとって唯一のエネルギー源で
あるブドウ糖が不足し、脳の働きが低下してしまい
ます。
その結果、うつのような症状が出てきてしまう
のです。
以上が栄養素的な取り組みで、あとはカウン
セリングや認知療法(誤ったネガティブな価値観
などを修正していく)が有効だと思います。
自分に自信を持ったり、観点を変えたポジティブな
ビジョンを持てるようになると何にも勝る薬ではない
かなと感じます。
抗うつ剤は8割の人に効果があるといわれています。
けれど、うつ患者の5割は薬物を使わずに自然治癒
するとも言われており、薬物治療に頼りすぎると、
逆に、症状が“固定化”してしまう報告もあるよう
です。
治療法は症状に個人差がありすぎて、マニュアル化
できないため、その人の病状を診ながら、適切な治療
方針を出すしかないようです。
うつ状態とうつ病の違いは?と言われてすぐに答える
ことはなかなか難しいと思いますが、一般的には病気と
認定されたかどうかです。
うつ病の症状は誰にでも起こりえることなので、周囲に
理解してもらうことが難しい場合もあると思います。
うつの症状が出ても2週間以内に回復する場合は、病気
ではなくうつ状態であり2週間以上症状が続くようであれば
うつ病と認定されると思います。
うつ病チェックで症状が2週間以上続く場合はうつ病と
説明されますが、うつ状態かうつ病かの違いを判断する為の
基準として「2週間」という目安の期間が設定されているの
だと思います。
うつ状態が2週間以上続くようであれば、医師に相談し
早めに対策をする事がうつ状態でもうつ病でも早く克服
する為の第一歩です。
一時的な気分の落ち込みというのは勿論誰にでもあります
が、どんなにショックなことでも2週間引きずるということは
なかなかないように思います。
2週間以上うつ状態が続いた時はうつ病と認定される目安の
ようです。