では、昨日に引き続きで見積査定について。
文字で説明するより見てもらった方が早いので、まず画像をば。
このように、一般的な見積書では、左から
・名称(何の工事、材料、製品等か)
・摘要(工事の概略、製品の規格等)
・数量
・単位
・単価
・金額(数量×単価)
・備考(補足説明等)
となっている。
先日は、見積での「数量」について説明したが、数量で計上されている項目には、必ず「単価」が入っている。
この単価が、「①材料、製品だけの価格」の場合と、「材工共」といって人件費も含む「②施工単価」として入っている場合とに分けられる。
なので、①の場合は、ネットなどを駆使して単価を調べ、それより高いか安いかを判断すればイイ。
で、高ければ、見積の金額に訂正線を引き、上に自分が調べた価格を書き入れる。この時、必ず後で相手に根拠を示せるようにしておくのが望ましい(調べたサイトをメモる、画面を印刷しておく等)。
②の場合は、ちょっとややこしいが、最近は、ネットでも施工単価がある程度は調べられるので、それが可能ならばその数値と比較すればイイ。
もし調べられなければ、これも今シリーズの一番最初に書いた通りなのだが、結局は「数量×単価」が「材料代+人件費」とイコールなので、使う材料代を調べ、それに工程表でその工種を見てざっくりした人件費を出して、その金額にて判断すればイイ。
もし調べられなければ、業者に訊いてもイイ。
見積査定中に不明な点があれば相手に訊くのは、至極当たり前の事なのである。
そう、ちょっと順序が違ってしまったが(苦笑)、見積書において不明な点がある場合は、とにかくなんでもかんでも相手に訊くというのも基本中の基本である。
なんせコチラは、工事費を出す「(お)施主(様)」である。
貴重なお金をはたく訳なので、全く持って遠慮などする必要は無いのである。
もうちょっと補足しておくと、見積査定においては、とにかく相手にしつこく色々訊いて、煙たがられるくらいでなければイケナイ。
でないと舐められるだけである。
素人と言えども「コイツ、簡単に騙せないぞ…」という警戒感を相手に植え付ける事が重要なのである。
むしろ「素人」だけに何でも訊けるという素人なりのメリットもある。
とにかく少しでも疑問に思う事は、なんでも訊きまくるべきなのである。
で、そのついでに言えば、コレもかなり重要なのだが、見積項目では、先の「数量×単価」ではなく、「一式計上」と言って「一(1.0)式」という表記で、いきなり金額がドンと出ている場合がある。
これこそが相手が「最も乗っけてくる部分」であり、注意が必要な部分である。
この項目を見つけたら、とにかく相手に「内訳を出してくれ!」と迫るとイイ。
特にいい加減な設備屋だと平気で「一式ウン十万」なんて見積を出してくるので、必ず内訳を出させるのが重要である。
もし材料が別途計上で工賃として一式だとしたら「人工(にんく)代がいくらで何人工掛かるのか?」を出すように迫る。
そうすれば、人工代が高ければそこを落とせばいいし、人工数が多ければそこを落とせばいい。
一式計上は、相手もやましいところが多大にある部分なので、かなり嫌がるのだが、そこは絶対に引かずにしつこく食い下がるべきであるとくどいようだが念押ししておこう(笑)
あと、これも重要なのだが、意外に盲点なのが、見積に計上してあると、その時点で「必要なモノだ」という刷り込みがされてしまうという事。
見積をもらったら、最初から細かく見ずに、まずは項目について本当に必要なのか?を見極める事も重要である。
特に先に書いた「一式計上」は、ある意味「ダブルで乗っける事が可能」でもあるので、何か不明であればキチンと説明させて、不要だと思えばバサっと斬り捨ててしまえばイイのである。
と、ココまで書いて非常に強く思うのだが、どうも今シリーズは、書く順序がオカシイようで…(苦笑)
自分の得意分野で、現在も派遣で普段やっている事なので、書きたい事が多すぎて逆にまとめて書き辛いようで…
良く整理しないで書き出しちゃったのがイケナイようですね…
でも、無駄な事は全く書いていないので、少しでも工事費を軽減した方は、隅から隅まで全部読んでもらえればと思います。
と、そんな事を書いたそばからこんな事を書くのも何なのだが(苦笑)、見積書についてまず知っておくべき事がある。
それは、「どれくらい相手が乗せているか?」である。
まあ、コレも難しいハナシで、一概には言えないのだが、自分のこれまでの見積査定で工事費を下げてきた実績と感覚から言うと、厳しい入札などではなく、普通に出された見積書であれば、「10%は乗せている」と思っていて間違い無いと思う。
モチロン、ヒドイ業者の場合は30%以上下げたりした場合もあるのだが(苦笑)、まあ、一応コレくらいにしておこうという事で(笑)
なので、査定する側は、それを念頭に置いておくべきである。
つまり、「10%程度は下げられるだろう」というつもりで査定をすればイイのである。
と、ココでまたハナシを遡るように査定の初歩的な部分を書くと(苦笑)、「見積査定」と「単なる値引き交渉」というのは、全く違うモノであるのだが、実は、何が違うのか?と言われれば、「根拠があるか無いかの違い」であって、「値引き交渉」という部分は同じなのである。
そして、最初の方で書いたのだが、「見積査定」をやれば、それによって金額を下げさせた上で、更に「単なる値引き交渉」に持ち込む事も出来る。
言い換えると、「見積査定」は、「理詰めの交渉」、「単なる値引き交渉」は「感情的な交渉」とでも言えるだろうか。
なので、これまで書いてきたような手法にて査定した数字を持って、業者とまずは理詰めの「ネゴシエーション(ネゴ)」を行うのである。
だが、相手が乗せてきている以上、コチラもバカ正直に査定の金額をぶつける必要は無い。
「理詰め」とは言うものの、多少の「腹芸」は使って、例えば10%は下がると思えば、最初は20%くらい下げた数字をぶつければイイのである。
ココで注意しなければイケナイのは、コレは、あくまで「腹芸」であって、建前上は、あくまでも「根拠のある数字」というのを査定の数字でネゴをしている内は通す事である。
そして、それが終わったら改めてイケシャアシャアと「じゃあココからいくら値引きしてくれます?」とやるのである。
と、ココで補足をしておくと、見積には、「出精値引き」という項目があり、業者によっては10%くらい引いている場合もある。
しかし、コレに騙されてはイケナイ。
この辺は、まあ、普通に「製品」を買う場合でも同じだと思うが、この額が大きければ大きいほど元々の数字がいい加減だと言っているようなモノである。
「値引きがあるから査定はイイや」なんて決して思ってはイケナイ。
もしも査定してネゴした結果が値引き後の金額と変わらなかったとしてもそれでイイのである。
逆にそうやっておいた方が後々有利に働いてくるのである。
なので、面倒でも査定は、絶対にやっておくべきである。
とまあ、見積査定について色々書いてきたのだが、ちょっとまとまりが無くなってしまったので、後日順を追って簡易にまとめたバージョンも書いてみたいと思うのだが、このままちょっと「見積査定」や「値引き交渉」ではない工事費の減額方法についても書いてみたい。
査定した金額をぶつけても思うように相手が引かない場合と言うのは、当然の事ながら結構ある。
その場合、「工事を分離発注する」というのも一つの手段である。
前回書いた通り、内外装工事の元請けとなる建築屋は、「設備」については、結局は下請けに丸投げに近い状態であり、価格も下げづらい。
なので、そういった部分は、別の安価な業者を見つけてきて「分離発注」とすればイイのである。
コレが特にやりやすいのは、「空調工事」や「厨房機器工事」である。
また、ガス工事も供給元ではない業者が入る場合、供給元に分離発注した方が安価に済む場合も多い。
しかし、分離発注とした場合、以下のような注意しなければならない点もある。
・その部分の工程管理(スケジュール調整)を自分で行う必要がある
・後々不具合が出た場合の相手先が複数となる
この辺を面倒だと思わなければ分離発注も是非一考してもらいたい。
あと、一般的なのは「バリューエンジニアリング(V.E.)」と呼ばれる、簡単に言えば「グレードダウンによる減額」である。
例えばカウンターに1枚ものの天然木を使う計画であれば、それを合板に変えるといったようなモノで、要は、同じ機能を果たすのであればイイと割り切り、使う材料の質を下げるのである。
設計の人間は、人のふんどしで自分のやりたい事をやる的な部分が非常に大きいため、結構ぜいたくな設計になっている場合も多い。
例えば、新製品で一度使ってみたいと思っていた材料が入っていたりする。
なので、そういったモノを部分的に見直していくと結構下げられるモノである。
そして、コレが実は、結構効果があるのだが、業者に「違う施工方法等を提示する」という方法もある。
小さい店舗工事ではなかなか難しいのだが、例えば、空中階にある店舗に大きな材料を搬入する必要があり、エレベータに材料が乗り切らないため、人力で5人が階段を使って3日掛けて材料を搬入する計画だったとする(かなり無理があるが…)。
しかし、よくよく物件を見れば、道路に面した窓を大きく開放出来るため、「窓を開放してクレーンを使って1日で搬入した方がイイのでは?」と業者に提示した結果、「確かにその方が楽だし安く済む」となり、そっちに変更するといったようなケースもあるのである(あまりイイ例えじゃなくてスミマセン…)。
コレだと施主も請負も双方とも納得するハナシなので、スムーズに進むのである。
この方法は、ホントに当たると大きい。
意外にこういった視点は、素人目線の方が「目から鱗」的なアイデアが出る場合もあるので、何か思い付いたらどんどん提案した方がイイし、劇的に減額する可能性も秘めているのである。
自分は、過去に最も工事金額を減額したのは、この方法だったと自負しているくらいである(笑)
そして、コレは、工事が始まってから提案しても全く問題ない。
実際に現場が動いてからの方がアイデアが浮かびやすいし、「減額精算」という事で支払いの段階で値引きしてもらう事も可能なのである。
あと、「精算」という言葉が出たので、最後にその辺のハナシを書いておく。
工事には、精算はつきものである。
設計と見積と言うのは、工事を着工する前のあくまで「計画」であり、実際にその通りに行かない場合なんて山ほどある。
と言うか、その通りに行く方が圧倒的に少ない。
大なり小なり必ずと言ってイイほど変更等は出てくるのである。
そうなった場合、その変更について「精算」という形で工事費の増減を行うのである。
しかし、コレがまた結構厄介で、それを認める認めないの両者の攻防が待ち受けているのである。
では、以下に様々なケースについて書いてみたい。
・見積漏れ、積算漏れ
→コレは、見積書から項目がスッポリ抜け落ちていた場合であり、明らかに請負側の落ち度なので、施主は増額を認める必要は無い。
・数量間違い
→コレも明らかに請負側の落ち度であり(施主が査定でチェック済でも同)、施主は、増額方向であれば認める必要は無く、減額方向であれば減額させるべきである。
・施工してから判明したモノの増額
→壁の中等、施工するまで分からなかった部分で追加が出た場合は、本当に事前に予測できなかったのか?を精査した上で納得するのであれば認める。
・施主から変更を申し出たモノの増額
→コレは当然認めるべき。
・施主から査定時に不要としたモノが必要だった場合の増額
→コレは、ケース・バイ・ケースで、お互いに協議した上で納得するのであれば認める。
とまあ、あまりイイ例が無かったが(苦笑)、ま、とにかくその変更が「ミスかどうか?」と「どちらの都合によるものか?」と「予見できなかったのか?」という辺りが判断基準となる。
しかし、基本的に施主としては、安易な増額というのは、当然認めがたいのは間違いのないところなので、これらの協議は、都度密に請負側と行い、もし増額が出れば減額出来る要素を探して相殺すべきである。
あと、先に「出精値引き」を残すよりは、消して査定で同じ額とする方がイイと書いたが、何故かと言うと、「もし減額要素が出た場合、出精値引きと相殺してくれ」となるケースが非常に多いからである。
なので、出精値引きは、あまり無い方がイイのと、査定後の出精値引きがあった場合は、各項目に振り分けて値引き項目を消す、減額とは別枠にすると事前に了解を取るなどをしておくべきである。
とにかく請負側は、契約金額が減るのを異様に嫌がる傾向が非常に強い。
なので、最悪でも減額しなくても、その分に見合う追加工事をやらせるといった交渉も必要である。
また、コレも順序がちょっと前後してしまうが(苦笑)、工事の発注には、必ず「工事請負契約書」を交わすべきである。
この契約には、必ず「民間(旧四会)連合協定工事請負契約約款」というモノを添付し、それに則ったモノとすべきである。
コレは、「請負(うけおい)」と書いて「うけまけ」と読むと言った皮肉に満ちたジョークもあるように、本来、どちらかというと施主の横暴から請負側を守るためといった性質が強い契約なのだが、当然同時に施主側を守る役割も果たすモノである。
なので、絶対に交わしておくべきである。
そして、その中には、「瑕疵担保期間」という概念がある。
簡単に言えば、「瑕疵」という「請負側のミスによる欠陥」について、それを補償すべき期間を設けるというモノである。
ざっくり言えば、建築で1年、土木で2年である。
しかし、それが「重大な瑕疵」となると、「1年を5年とし、2年を10年とする。」と謳われており、要は、内外装工事の場合は、5年は欠陥を補償しなさいという事になっている(防水工事は10年保証と言う概念もある)。
残念ながら設備は1年なのだが、5年以内に何か建築的な不具合が出た場合は、請負側に交渉する事が出来るのである(瑕疵に当たるか?当たらないか?というのは、やらなければイケナイのだが…)。
とまあ、なんともまとまりの無い内容になってしまったのだが(苦笑)、先にも書いた通り、後日もっと簡素でまとめたモノを書いてみたいとも思うので、今日のところはこの辺で…
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