飲食店&移動販売車に役立つアドバイスシリーズ第5弾。

 

今回は、固定店舗開業時の「内・外装工事における見積査定の極意」について書いてみたい。

 

自分は、今でこそ飲食、飲食と言っているが、新卒で入社してから20年ほど施設関係の部署にいた。

その中で先日書いた許認可と共に、工事の発注から引き渡しを受けるまでのいわゆる「施主」という立場からの工事監理全般についてもイヤという程学んでいる。

 

なので、今日は、その中から固定店舗での開業にほぼセットとなるとも言える「内・外装工事」における「見積査定」について書いてみたい。

 

「見積査定」と言うと聞きなれない人は「一体何のことか?」と思うかもしれないが、平たく言えば、工事金額を決める際に業者より出される見積書について、その金額が妥当かどうか?を見定めるという行為である。

 

どんな工事でも通常は、見積書を業者から施主に出して金額の了解をもらった後に発注といった流れであり、工事と見積書は、一体のものと言っても過言ではない存在である。

 

なので、店舗の内・外装工事でも当然見積書は出されるモノであり、それを査定すると言うのは、そのまま投資金額にも影響するので、非常に重要な行為である。

 

しかし、コレがまた経験が無い人からすると、結構難しいのである。

 

中には、「そんな面倒な事しなくても金額(値引き)交渉すればイイんだよ」という人もいるかもしれないが、本来値引き交渉は、必ず査定の後に行われるモノである。

でなければ、結局は相手の「言い値」で発注するのと同じ事である。

意地悪な言い方をすれば、適正な価格も知らずして値引きも何もあったモノではないという事である。

 

 

と、ココでいきなり「今までのは何なの?」というような事を言ってしまうと(笑)、民間発注の工事において、「コレが正解」と言う金額は、実は存在しないのである。

 

「工事」とはいえ、ある意味「製品」と同じであり、例えば、ほぼ同じ規格の電化製品であってもメーカーによって価格が違うように、施工業者も好き勝手に価格を決める事は、別に違法行為でもなく、自由にやってイイのである。

 

しかし、電化製品なんかと違うのは、工事と言うのは、ほぼ全てが「特注品」であり、都度価格を設定するという点である。

なので、例えばある電気屋が他店より高い金額で売っていたとしても、当然皆適正価格というのは知っている訳で、別にそこで買わなければイイだけのハナシなのだが、工事というのは、そうはイカナイ。

そして、いくら自由に価格設定をしてもイイからといって不必要に相手を儲けさせる必要も当然無い訳だし、そうならないように自己防衛しなければイケナイのである。

 

そこで、一般的に通用する公共工事の価格等を根拠として査定を行い、それを相手に示す事でそれを防ぐのである。

 

 

では、まずは、工事金額の成り立ちについて書いてみたい。

 

見積書では、工事金額について、様々な項目に分けて金額を入れており、その項目によって数量×単価で入っていたり、一式だったりするのだが、基本は皆同じで、「材料費と人件費」から成り立っているのである。

とまあ、いきなり当たり前の事を書いているのだが、実は、施工業者というのは、そこをどう気付かれないように誤魔化すか?が腕の見せ所的なところがあり(笑)、結構見積書の見た目に騙されてしまう事がある。

コレは、20年やってきた自分でも時折陥った罠であり、査定が終わるまでの間、一度は全体をそういった観点からも見てみる必要がある。

 

業者がどんな計上の仕方をしてきたとしても最後の「計」は、全て「材料費+人件費」と同じになるのが本来である。

最近は、有難いことに、インターネットの発達で材料については、簡単に値段が調べられるようになってきた。

なので、使う材料については、完全ではないとしても概ね適正な価格を算出するのは難しい事ではない。

そして、「計」からその材料費分を差し引いた「人件費」の分が適正かどうか判断すればイイのである。

 

その人件費については、行政が工事を発注する際に使用する「公共工事設計労務単価」と言うモノが存在し、一応業界的に取決め的なモノが存在する。

が、そんなのをいちいち素人が調べるのは面倒なので(笑)、ざっくりとしたモノを教えると、概ね人が一人動くと1日3万円掛かると覚えておくと良い。

厳密には、設備、建築、土木などでも違ってくるのだが、査定が仕事でなければそこまで細かく知る必要はない。

そして、工事期間がどれくらいか?1日何人作業に来るのか?を聞けば、だいたいの人件費は分かるのである。

 

ホントにこうやって聞けば至極簡単な事なのだが、ホントに見積書をそのまま分析しようとするとコレを見落とすのである。

そして、施工業者にまんまと騙されるのである(笑)

 

自分のかつての上司が常々口にしていたのは、「見積書は『作文』である」という言葉。

なかなか見積書の本質を突いた見事な「格言」であると思う。

そして、その「作文」を文面通り読んでしまうと、まんまと相手のペースにハマっていってしまうのである。

 

一般的な飲食店の内外装工事というのは、個人店で10坪くらいと想定すると、居抜きで少しいじる程度なら2週間程度、スケルトンや居抜きをほぼやりかえるとしても1~1.5ヶ月程度だろう。

それくらいの規模だと大工が1日1~2人来る程度であろう。

すると、1日3~6万円くらいの人件費が掛かるので、かなりざっくりだが、大工だけで50~200万くらいかかる事になる。

そこに途中で電気や給排水、ガスなどがやはり1~2名程度入るので、それぞれについても掛かる日数から算出すればイイ。

以上の事は、「工程表(工事のスケジュール表)」から読み取る事が出来るので、見積書と同時に工程表も提出させるのがイイという事になる。

 

しかし、くどいようだが、ホントにこの押さえをやっておかないと、法外な値段を吹っかけられても気が付かない場合が多いのである。

そして、結局感覚論で相手に「高い!まけろ!」という事になるのだが、相手に「いやー、結構手間が掛かるんです」なんて言われてしまうと何も言い返せなくなってしまうのである。

 

特に大規模工事と小規模工事では、かなり違いがあるので、覚えておく必要がある。

大規模工事というのは、一般的には塗装工事なんかが分かりやすいと思うが、概ね平方メートル単価(よく「平米(へいべい)単価」と言われる)が決まっているのだが、小規模の場合、それをやってしまうと人件費分も出ないという事態になりかねない場合が多い(「小規模単価」という概念もある事はある)。

なので、そうならないように積算してくるのだが、逆にそこが相手の思うツボ的な部分でもあり、いかようにでも吹っかける事が出来るのである。

小規模の方がより「特注」に近いといった感覚が分かりやすいかと思う。

 

しかしながら、実は、「工程表」というれっきとした「証拠」があるのである。

それをしっかりと利用する事が自己防衛となるのである。

 

 

あと、ちょっと査定の概念からは逸れてしまうが、もう一つ見積金額がざっくりと高いかどうか見分ける方法がある。

 

それは、「新築の単価」との比較である。

 

これもかなりざっくりではあるが、マンションや戸建ての場合、概ねで「坪単価」というモノが存在する。

 

厳密にいうと、RCやSRCや木造など構造の違いでも違ってくるのだが、まあ、概ねで坪60~70万と覚えておけばイイと思う。

そして、例えば自分の店が10坪だとした場合、新築すると600~700万円くらい掛かるという事になる。

 

モチロン10坪が戸建てで建てられる訳でもないし、とりわけ飲食店は、厨房工事の比重が大きいため、一般的な建築単価よりは、高めになる傾向が強いのだが、例えばスケルトンから作りこむとしても、2,000万円とかで出てきたらそれは高いだろうという目安とする事は出来るのである。

 

コレも結構細かいところばかりに目が行ってしまうと意外に忘れてしまう視点である。

最初に見積金額を見た時にさっと坪数で割ってみるというのは、まずやった方がイイのである。

 

 

と、ココまで書いたのだが、なんか超絶に長くなりそうになってきたので(笑)、とりあえず一旦終わりにして、後日また続編として書いてみたい。

 

 

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