(エブリスタ)

 小学校低学年の頃、「韓国の歴史」(全五巻)という歴史漫画を読んだ。手に入れたのは小学校2年もしくは3年の頃だったと思う。誰に貰ったかは覚えてないが。と言うより、誰に渡されたという記憶はなく(少なくとも親から渡された記憶は無い。)、いつの間にか家にあったような気がする。

 私以外の家族はその本に特に興味を示しておらず、私以外読んでいなかったように思う。手に入れた、と言うよりは私物化したと言った方が正しいか。

 冊子の形としては学研等から出版されている「日本の歴史」と似たような感じ。韓国で子供向けに作られたもので、その和訳版だ。絵は当時の日本の伝記漫画に比べ、かなり雑だった。その為か、私はその本にあまり興味を持てなかった。

 だが唯一、「神話(もしくは伝説)」の部分には興味を持った。内容としては確かこんな感じだった。






 ・既に地上(朝鮮半島)には人間がいて生活していた。

 ・天界から天主(神)の長男であるハンウンが三千人の共を連れて下界に降り、人間達に知恵や技術、学問を授けた。

 ・下界が発展して暫く経った頃、ハンウンの元に虎と熊が訪ねて来て「人間になりたい」と願い出る。

 ・ハンウンは2匹に同様の試練を課す。肉を食わず、ヨモギとニンニクだけを食べながら、天主に100日間祈り続けなさい、と。

 ・虎は耐え切れず途中で投げ出したが、熊は最後までやり遂げた。100日が経った翌朝、熊は美しい人間の女性の姿になっていた。

 ・ハンウンはその女性を熊女(ウンニョ)と名付け、自らの妻に迎えた。そしてハンウンとウンニョの間に産まれたのがダンクンワンコムであり、朝鮮の最初の統治者となった。






 


 五巻全てを読んだものの、内容をよく覚えているのは、この神話の部分だけである。

 そこから先は、鉄製の武器を持った国が銅製の武器しか持たない国を滅ぼす等の、日本とちょっと被る様な内容の黎明期
 高句麗(コグリヨ)・新羅(シンラ)・百済(ペクジェ)の三国時代
 唐との関わり、高麗(コリョ)の時代

 …といったような、日本の教科書にも出てくる国名が並ぶ。国名の韓国読みだけは今でも覚えている。

 そして最終巻は日本の統治時代〜現在(当時80年代)であり、内容は「お察しの通り」である。「伊藤博文が悪人として描かれていた」と言えば、想像がつくだろう。






 そして私はそれとは別に、学級文庫や図書室にあった「はだしのゲン」を読み始めた。あれも相当にインパクトの強い漫画である。

 そういったものに偶然触れる機会があり、そして次第に興味を持ち、読み進めていく。「はだしのゲン」は小学生の間に何度も読んだ。

 こういった事が、私の中に「無自覚な反日」を育てるキッカケとなっていった。今振り返るとそう思えてしまう。



 どういった事を指して「無自覚な反日」と私は呼ぶのか、それはまたいづれ書こうと思う。