
ここ2回ほどブッチしてしまったマスターの月例ツーリング(マスターごめんなさい)に急遽参加することに。このツーリングの楽しみは何といってもスピットファイアーの美しい姿を愛でながら、そして力強い排気音を聴きながら走れること。そして今回ついに試乗の機会を得た。(マスターありがとう)
右チェンジであること、Fブレーキがプアであることなどを念押しされキックを踏むと、SRやGBとは違う独特の踏感。エンジンが十分に暖まっていることもありキック2.3発で簡単に目覚める。アイドリングにも不安は感じられない。タンクから直線的に伸びるシートレールと厚みのあるシートのせいで足つきはあまり良くないが、1970年代前半くらいまでの、こんな素直なフレームワークがボクは大好きだ。

いよいよ走り始めてみる。幸い大きなRのワインディングが続き交通量も少ないので、頭で「右チェンジ右チェンジ」と唱える余裕がある。アクセルを開いていくと、まず感じるのが各部に伝わる振動。シングルやツインが好きでわりと解っているつもりでいたが、それらがとても現代的であることを思い知る。そういやコイツは1967年生まれのボクより一つ年上なわけで、その年月を考えれば動いていること自体が奇跡みたいなものだ。実に感慨深い。エンジンの回転フィールは「機械」を感じさせるものであり、乗ってきた883Rのスムーズさとは対極にある感じ。バーチカルツインだからなのか、シングルを倍にした感覚=開けた分だけ振動とパワーが強調されていく。
嬉々として走らせていると、少しきつめのコーナーがあらわれる。Fブレーキは期待できないので、左足でブレーキペダルを踏むと…オッソロしく効く。しかもハーレーのようなコントローラブルなものではなく剃刀のような鋭さ。慌ててリリースするも、この時点で頭の中にあったコーナーリングの組立てはマッチロケ。仕方が無いので空走しながら倒しこもうとすると、摩擦式ステダンのせいかセルフステアが思いの外鈍い。フラフラしながらコーナーをクリアしたものの敗北感に見舞われる。しっかりと速度を乗せることができてこそ良い塩梅を見せるステアリングらしい。因みにマスターはソコソコ大人気ない速度でコイツを巡行させる。

こんなたった数キロ程の試乗だったが、以前にも増して旧車への想いを熱くした体験だった。
ビデオと写真、近いうちに送ります。 >マスター。