すばらしい作品でした。
何から言葉にすればよいのか迷ってしまうほど、多くの物語が込められています。
まず興味深かったのは、やはりロッシ vs ビアッジをテーマとした部分。
いつもレースを楽しむロッシと、あくまでストイックに臨むビアッジ。
レーサーの父親の下、英才教育を受けたロッシと、18歳からレースを始め頂点まで上り詰めたビアッジ。
これまでは、ロッシの天賦の才とスマートな姿ばかりに目を奪われていましたが、
この作品で、完璧を目指し必死にもがくビアッジの姿を知ることができました。
この二人の関係をシュワンツとレイニーのそれになぞっている件がありますが、
彼らがお互いを憎みながらも、高め合う関係であったのに対し、
ロッシとビアッジの関係はもっと偏っていて、ビアッジの悲哀ばかりが強調されるような気がします。
以前、GPフォトグラファーの木引繁雄氏にお会いした時、氏が語られた言葉を思い出します。
「ロッシは20年に一度の逸材かもしれないよ。ケニーと同等か上かも。」
ライバル不在の中、ヤマハへの移籍という逆境をあえて選ぶことでモチベーションを保ち続けるロッシ。
天才を超えた天才の時代を、リアルタイムに体験できることへ感謝です。
余談ですが、つい先程まで放送されていたMotoGP第6戦イタリア・ムジェロ。
ロッシはドゥカ・カピロッシ/ホンダ・ヘイデンをクレーバーな走りで抑え、2戦ぶりの優勝。
そしてGP通算55勝を達成したことで、ついにドゥーハンを抜いて歴代2位の座を手に入れました。
ファンとしては、また一つモチベーションの糧を失ったのではないかと心配です。
これは個人的な意見として。
ペドロサは来シーズン、完全な成長を遂げていることでしょう。
そしてロッシに大きな影響を与えるのではないでしょうか。