あいつの口癖は、
「俺はこの時代の人間じゃない。」
だった。
大学に入学して間もない頃
あいつ勇太と出会った。

非常に無口なやつで、
勤勉というか歴史に関心を
抱いていた。

俺は渉。橋 渉(わたる)。
昔から不思議なことに
よく遭遇したり不思議な夢をよくみる。

最近では金縛りに合うのも珍しくない
ぐらいだ。
そんなのあるわけないって思うだろ?
結構体痛くなって翌日きついんだぜ?

昔ひどかったのは、近所の女の子が、
コンビニに出かけるのを見たと
警察に話していたら、
その子はその俺が見かけた昨日に
コンビニに向かう途中で交通事故に
あっていたことが判明した。

予知能力か霊感みたいなものが
俺にはあるのだろうか?

そんな数多い経験した俺に
また最近不思議なことが起こっている。

いつもの大学への通学時、
決まった駅で誰かに呼ばれているような
感覚に陥るのだ。

それを勇太に話したところ、
絶対にその駅で降りてはいけないって
真剣な顔をしていうんだ。

普段は無口で変なことや歴史のことしか
いわないようなあいつがそんなことを
言うもんだから余計に気になっていた。

そんなある日ついにあれが起こった。

いつものように大学に向けて
電車に乗っていると、
あの駅に停車した。
胃がむかむかして気持ちが悪い。

少し休みたいと思いながらも、
もう一駅頑張ろうかと考えていたら
老婆が、電車の降り口で転倒した。

周りは誰も助ける様子がない。
思いやりがないなぁと思いながら
あわてて助けに入ると
体をすり抜けるようにして
溝におちてしまった。


そこで見たのは夢だったのだろうか?
<やっと捕まえた!>
さあ、一緒に飛び込もう?。。
あの時みたいにさ!

死んでしまうような恐怖の中で、
俺は前世の記憶らしきものを
感じていた。

そうだ、俺は前世でも電車事故で
巻き込まれたときこの女に足を
ひっぱられて死んでいる!(;゜Д゜)

違和感と気持ち悪さはこのためだったのか。
何でもっと注意しておかなかったんだろう。

<だから言ったじゃないか!>
<絶対に降りてはダメだって>
そこにいたのは、勇太だった。

もう君はいっていいよ?
俺は君を助けるこの時のために
こいつに乗りうつってたんだ。

智宏?記憶の奥底、前世の自分の親友だった。
俺たちは旅行中、電車事故に巻き込まれ、
最後にあの女に道連れにされたんだ。

君を巻きこんだことをずっと悔やんでいた。
さあ、君は今の時代を生きるんだ!

勇太は?智宏は?
頭が混乱する中、二人との楽しい記憶が
走馬灯のように流れる。

<逃がさないよ?!!>
僕が一緒に逝ってあげるから
許してくれないかな?
なっ?俺の時代はもう終わったんだ。

もうこれからのお前は
危ない橋をわたる(橋渉)なんかじゃない。
人々に橋を架けるんだ!




気がつくと駅のベンチで俺は寝ていた。
智宏?勇太?
<気がついたかい?ほら友達も待ってるよ?>
駅員に抱き上げられ起き上がると
そこには勇太がいた。

でもそこにはもう智宏はいないって
わかっていた。
自然に涙がでてくる。

渉あのさ。俺は君の前の親友ではないけど、
今の君と親友でいたいと思う!
少しだけど前世の記憶があるんだ!
そうウィンクする勇太は智宏みたいだった。

これからどんなことがあっても
俺は頑張れる。

智宏が勇太がいてくれるから。


人生最後に見る走馬灯は恐怖ですか?
それとも。。。