私の人生でこの映画以上の作品は出ないと断言できる。
私の原点はここにある。
『戦場のメリークリスマス』(原題:Merry Christmas Mr.Laurence)
1983年日本公開の大島渚監督の作品
戦争映画だが戦闘シーンはでてこない。
第2次世界大戦中、インドネシアの捕虜収容所内の出来事
日本人と英国人
英国人と英国人
日本人と日本人
同じだと思っているものが異なり、異なると思っていたものの中に共通項がある。
英国人捕虜にデヴィッド・ボウイ
捕虜収容所所長ヨノイ大尉に坂本龍一
ハラ軍曹にビートたけし
英国陸軍に入る前の職業は弁護士
この映画を初めて見たのは私が3歳か4歳のころ
まだ幼稚園には通っておらず、今とは違って落ち着いた子供だったため、
大人達と一緒に行動していたからだった。
この映画の1シーンが幼児の頭に一生焼きつくことになる。
捕虜のジャック・セリアズ(デヴィッド・ボウイ)が勝手に収容所を抜け出して
赤い花(後にわかったがハイビスカスだった)を摘んで戻って来る。
それが日本兵にみつかり、「この花は何だ!」と問われる。
するとジャックは「この花は食うためのものだ!」
と言って赤い花をムシャムシャ食べだすのです。
当時の私はようやくものこころがつき始めていて、
よいこと、わるいことなどを認識し始めていた。
童話やおとぎ話の影響で、
きれいで美しいもの、やさしいもの、きまりをまもるもの=正義、
醜く、意地の悪いもの、きまりからはずれたもの=悪
という感覚がぼんやりできていました。
そんな時、王子さまみたいに美しい金髪の男の人が、
食べではないものを食べ物としてムシャムシャ食べてしまう。
食べ物ではないものを食べない、食べ物だけを食べるという道理が私の中にあり、
美しいジャックはそれを当然守るのだという感覚がありました。
その道理の体現者であるべきジャックが、道理を犯す行為(食べ物ではない「花」を食べる)
をすることにより、私の中に芽生え始めた倫理観と言うか、価値観が根底から覆されたのでした。
幼いわたしにとってはかなり衝撃的なシーンでした。
あまりに幼すぎて映画の記憶はほぼ消えていたのですが、
この食花シーンだけ鮮明に覚えていて、高校生のころに母親が思い出してくれたため、
この映画が戦場のメリークリスマスだと 知ることができたのです。
この映画のテーマは全く別にあるのですが、私の人生に最も影響を与えた作品です。
まだ観ていない人は是非見て欲しい!
そんな作品です。


