●祈り
彼は祈っていた。
駅へと降りる階段の上で。
彼は祈っていた。
大きな体躯を折り曲げ
地面に敷いた小さな布に
額を擦り付けるようにして。
祈りが終わり
小さな布を畳んで
傍に置いてあったリュックにしまうと
初めからずっと
そうしていたかのように
階段の上に座っていた。
海外からの旅行者なのか
この近くに住んでいるのかは
わからない。
きっと彼は
どこにいても
何をしていても
定められた時刻になると
定められた方角に向かって
その大きな体躯を折り曲げて
地面に額を擦り付けるようにして
一心に祈りを捧げているのだろう。
日常の中で
決まった時間に
特定の対象に向かって
祈りを捧げる習慣のない私が
祈りについて考えるなんて
と
おこがましい氣持ちになった時
ガイドさんはこう言った。
日常の全てが祈りです
あなたの一挙手一頭足は
あなたが神に捧げる祈りであり
あなた自身の意宣です
それはまた
あなたを通して行われる
神の御技でもあります
そうだそうだ
そうだった。
心なしか
背筋がピンと伸びた
買い物からの帰り道。
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