エイジレスの274回 アトピー性皮膚炎の新治療法

 

 

 ヒトの体内において免疫反応を抑制する HLA-G タンパク質は,一つの遺伝子から発生しますが,多 様なかたちを持つタンパク質として存在することで,様々な免疫細胞の活性化を抑制しています。

 

 最 も存在量が多いと考えられる HLA-G1 タンパク質は,広範な免疫細胞表面に発現する LILRB1 や LILRB2 というタンパク質に結合することによって,自己に対する不要な免疫反応や抗原処理後の過剰な免疫 反応抑制に関与し,自己寛容の誘導に重要だと考えられています。

 

 コラーゲン誘導性関節炎マ ウスに HLA-G タンパク質溶液を皮下注射することによって,四肢の関節炎症を長期にわたって抑制す ることが解明されています。

 

 今回は,異なる慢性炎症モデルであるアト ピー性皮膚炎マウスを用いて,皮下注射ではなく,炎症部位へのタンパク質溶液塗布による抗炎症効 果の有無を検討しました。

 

 

<研究成果のポイント>


・HLA-G1 タンパク質は,ヒトの胎盤で母体免疫から胎児を守ったり,全身の免疫反応を抑制したりする天然の免疫抑制分子。


・HLA-G1 タンパク質溶液をアトピー性皮膚炎マウスの炎症部位に塗布することで,アレルギー反応を抑制でき,皮膚炎治療に効果があることを解明。


・HLA-G1 タンパク質はヒトの体内に元々存在しており,過剰な免疫反応による炎症に対する,副作用の少ないバイオ医薬品の開発に期待。 

 

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 アトピー性皮膚炎をはじめ、自己免疫機能の異常でおきている皮膚炎には、HLA-G1 タンパク質が効果的との話ですので、副作用の少ない治療薬が開発されるかもしれません。