エイジレスの268回 【ウイルス】ウシで、HIV中和抗体を作る
かつて、HIVは、不治の病とされ、人類にとって脅威となっていました。
最近では、治療法や薬が開発されて、症状が治まるところまで来ているようですが、その恩恵は、一部の人に限られていて、世界的にみると、まだ多くの人が苦しんでいるのが現状です。
今回のお話は、わずか4か月で、牛さんに抗体を作ってもらったというお話です。
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HIVエンベロープ(HIVの外膜)を模倣したタンパク質を使って繰り返し免疫する方法を用いて、ウシの体内でさまざまなHIV株を抑制する広域中和抗体を迅速に作製できたことを報告する論文が、今週、オンライン版に掲載される。
今回の研究では、免疫した後に広域中和抗体が急速に生成されたことが観察され、例えば、1頭のウシの体内で生成された中和抗体は、42日後に研究対象のHIVサブタイプ(117種)の20%を中和し、381日目にはこの中和範囲が96%に増加していた。
ヒトの体内でこれと類似した抗体を自然感染によって作製しようとすれば5年以上が必要となる。
一方、エンベロープタンパク質を使って免疫されたラマを使った以前の実験では、効き目が弱く中和範囲の限定された広域中和抗体がわずか4か月強で生成された。
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ということで、すぐに、実用化に結び付くことはなさそうですが、今後のワクチン設計の指針としては、応用が早そうなお話です。
いずれにしても、現段階では、HIVの感染するのは、やっぱりリスクも高いし、お金もかかるので、お気を付けください。