エイジレスの220回 臨床試験で有望な結果が得られたマラリアワクチン
マラリアは、熱帯から亜熱帯に広く分布する原虫感染症で、高熱や頭痛、吐き気などの症状を呈します。
悪性の場合は、脳マラリアによる意識障害や腎不全などを起こし死亡するとのこと。
マラリアは予防可能、治療可能な病気であるものの、全世界では、マラリアに年間1.98億人が感染し、うち58.4万人が死亡していると言われています。
かつては、日本でも、土着マラリアがあったようですが、今では撲滅されています。
しかし、地球温暖化で、日本が亜熱帯気候になると、他人ごとではなくなってきます。
ということで、今回は、新型のマラリアワクチンのお話です。
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最終接種日から、少なくとも10週間にわたってマラリア感染に対する完全な防御免疫を達成できるマラリアワクチンが、このほど行われた臨床試験によって明らかになった。
このマラリアワクチンの臨床試験は、合計35人の被験者に対して行われ、重篤な副作用は認められなかった。
このワクチンがマラリア予防のためのワクチン接種プログラムの開発に適したものかどうかを見極めるためには、ワクチンの最適化をさらに進める必要がある。
マラリアに対する最高レベルの防御免疫は、マラリア原虫の細胞、つまりヒト感染性熱帯熱マラリア原虫の胞子虫(PfSPZ)あるいはそれを弱毒化したものを用いて免疫応答を誘発することを目的としたワクチン接種法によっても達成されていることが報告されている。
これまでの研究では、蚊を用いて生きたPfSPZを送達していたが、今回、Stephen Hoffmanの研究チームは、臨床状況下での実用性が高い送達方法である感染性PfSPZの直接静脈接種について調べた。
今回の臨床試験では、投与量を複数設定して、このワクチンを健康な被験者に投与し、抗マラリア薬のクロロキンも合わせて投与した上で、このワクチンの作製に用いたマラリア原虫株に感染させた。
このワクチンを4週間おきに合計3回接種した場合には、投与量が少ないグループでは、一部の被験者だけが防御免疫を達成したが、投与量が最も多いグループでは、9人の被験者が最終接種日から少なくとも10週間にわたって完全な防御免疫を達成した。
これと同じ投与量のワクチン接種を短い周期で行った場合(5日おきに合計3回の接種)には、8人の被験者のうち5人(63%)が防御免疫を達成した。
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今のところ、有効性は確認されているものの、防御免疫を達成した人の割合が少ないため、さらなる研究が必要ということのようですが、防御免疫を獲得した人の罹患率は低いようですので、期待十分というところです。
お薬になる日は、まだ、時間はかかると思いますが、現在でも、ワクチンはあるようですので、 マラリアが発生している地域にお出掛けの方は、くれぐれもご用心ください。