エイジレスの202回 グレートバリアリーフでの白化現象と海面水温の関係
地球温暖化による海面水温の上昇は、熱帯のサンゴ礁で大規模な白化現象を引き起こしており、それによる損傷は、デリケートな生態系であるサンゴ礁にとって命取りになるようなレベルに達する可能性があり、もはや、修復不可能とさえ言われています。
2016年に発生した最も深刻な白化現象は、2015~2016年のエルニーニョ現象による記録的な高温によって引き起こされ、グレートバリアリーフのサンゴの90%以上が白化した模様です。
地球温暖化の影響は、地球規模では、既に出てきていますが、日本も例外ではなくなって来つつあります。
因みに、グレート・バリア・リーフは、オーストラリア北東岸に広がる世界最大のサンゴ礁地帯です。
南緯10度から24度にかけて広がり、2600kmを超える長さに、2,900以上の暗礁群と約900の島を持ち、総面積は344,400km2以上となります。
日本の面積が、378,000 km²なので、ほぼ匹敵する広さです。
では、論文の抜粋です
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今回、Terry Hughesの研究チームは、気候変動がサンゴに及ぼす影響をさらに解明するため、1998、2002、2016年にグレートバリアリーフで発生した大規模な白化現象の評価を行った。
Hughesたちは、サンゴを個別に分析して、白化を起こしやすいサンゴと起こしにくいサンゴがある理由を調べた。
その結果分かったのは、白化に明確な地理的分布があり、そのような分布に寄与する主たる要因が海面水温のパターンだったことだ。
一般的な傾向として、白化しないサンゴは海水温が一般的に低いグレートバリアリーフの南端の方に分布していたことが判明した。
現地でのサンゴ礁漁業と水質の管理は、異常高温に対する防御にはほとんどならなかったが、サンゴ礁生態系が白化現象から回復する際に役立つ可能性があるとHughesたちは指摘している。
しかし、グレートバリアリーフが2016年に起こった深刻な白化から完全に回復する可能性は低く、サンゴ礁を保全するには今後の温暖化を抑制するための緊急対策を地球規模で迅速に実施する必要がある、とHughesたちは結論づけている。
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今更、原因が分かったからと言って、もう遅いような話ではありますが、海の中で、それほど、大きな環境変化が起きていたという事です。
今回は、サンゴ礁の話ですが、海水温の上昇は、単純に、水蒸気量を増やし、熱帯低気圧を発達させるので、台風やハリケーンなどの過激化も予想されますし、逆に、干ばつの危険性も増します。
だからと言って、個人レベルで、有効な対策は難しいところですが、せめて、災害時の身の守り方ぐらいは、考えていた方がいいかもしれません。
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