エイジレスの184回 地球温暖化の停滞?
健康や長寿を目指していると、ついつい近視眼的な視点で、小さい話になりがちですが、地球温暖化が進むと、個人レベルの話なんて、簡単に蹴散らされるほど大きな影響があります。
地球温暖化が進んだ場合、以下のリスクが指摘されています。
1.高潮や沿岸部の洪水、海面上昇による健康障害や生計崩壊のリスク
2.大都市部への内水氾濫による人々の健康障害や生計崩壊のリスク
3.極端な気象現象によるインフラ機能停止
4.熱波による死亡や疾病
5.気温上昇や干ばつによる食料不足や食料安全保障の問題
6.水資源不足と農業生産減少
7.陸域や淡水の生態系、生物多様性がもたらす、さまざまなサービス損失
もはや、生き抜くことさえ大変な状況になるようでして、現在抱えている個人的な悩みなど、簡単にすっ飛んでしまいそうです。
で、地球の温度が、どれくらい上がると大変なことになるかの指標は、次の通りです。
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A:暑熱や洪水など異常気象による被害が増加
B: サンゴ礁や北極の海氷などのシステムに高いリスク
マラリアなど熱帯の感染症の拡大
C:作物の生産高が地域的に減少する
D:利用可能な水が減少する
E: 広い範囲で生物多様性の損失が起きる
F: 大規模に氷床に消失し海面水位が上昇
G: 多くの種の絶滅リスク、世界の食糧生産が危険にさらされるリスク
(国連のIPCC(気候変動に関する政府間パネル)のHPより)
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ということで、産業革命のころ(1886年)より、たった4℃上がるだけで、人類壊滅みたいなレベルまで到達するようです。
因みに、平均気温が8℃上昇すると、北極圏が熱帯地方になるとにことですので、日本は、差し詰め、灼熱地帯という事になるかもしれません。
現在のペースで、気温の上昇が続くと、2100年までの気温上昇は、2.6〜4.8℃とされていて、上記の指標でみると、良くて、Dクラス(水が減る)、悪くて、Gクラス(種の絶滅)となるようです。
2100年まで、あと、83年ですが、変化は、その前から訪れますので、皆さんが、生きている間にも、色々問題が出てくる可能性は少なくありません。
個人レベルで、地球温暖化を阻止するのは、不可能ですので、全地球的なレベルで、取り組む必要があるのですが、1998年~2012年まで、あまり気温が上がらず、地球温暖化に対して、懐疑的な意見も少なからずあったために、対策が今一つ進んでいないという現状があります。
特に、アメリカのトランプ大統領が地球温暖化対策なんて知らないみたいなことになったので、益々、将来が危ぶまれています。
ということで、トランプ大統領が、地球温暖化を疑うこととなった「地球温暖化の停滞」について、論文が出ていますので、ご覧ください。
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この分析研究では、「地球温暖化の停滞」以降の観測的証拠の再評価が行われた。
この停滞期間中(1998~2012年)、地球の表面温度が気候予測から予想されるほどの上昇をしておらず、一部のモデルと観測結果が相互に矛盾していると考えられていた。
こうした現象のために、少なくとも一部の人々が気候システムに関する現在の理解に対して疑問を呈している。
例えば、人為的な気候変動と自然変動の理解がどの程度進んでいるのか、という疑問だ。
これに対して、Medhaugたちは、結論が異なっている主な理由は、使用されたデータセット、対象期間、停滞期間の定義がそれぞれ異なっていた点にあると考え、モデルと観測結果を適切に処理すれば、両者間の不一致を解消できることを実証した。
直近の観測結果により、温暖化が停滞したと考えられている期間中にも気候温暖化が続いていたことが実証されており、2015年と2016年は、地球表面温度の記録上非常に高温の年となった。
Medhaugたちは、地球温暖化の停滞が現在の気候システムに関する全体的な理解と矛盾していないという結論を示している。
「温暖化の停滞に関する研究から得られる最も顕著な教訓は、定義を明確にし、停滞とされる現象を定量化、一般化できるように説明することが必要だということかもしれない。
異常な気候事象に関する主張を用語の定義によって支えようとするのであれば、我々が用いるツールの場合と同じように定義の明確化が必要である」。
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今頃、「定義の明確化が必要である」なんて言ってるのも、ちょっと問題な気もしますが、世界中の人々が納得できるような基準作りが、早急に必要とのことです。
が、現実に、日々の暮らしに追われている中で、そんな大局的な話をされても、どうしていいかわからないですし、今日の食事さえままならいない方々にとっては、聞く耳さえ持たないというのが普通だと思いますので、なかなか、解決困難な課題と思います。
因みに、ある研究によれば、南極の氷床は、既に、不可逆の状態、つまり、地球温暖化対策をしても、南極の氷は、溶け続けるという話もあります。
世界的な取り組みが失敗した時に備えて、自ら、自己防衛するしかないのかもしれません。