エイジレスの201回 閉経のマウスモデルの体脂肪を減らす抗体
女性の場合、閉経という大きな体の変化が訪れます。
閉経後に起こりやすい体の変化を調べてみると、
①膣や尿道粘膜の萎縮
⇒尿道炎や尿漏れ、老人性膣炎、性交痛が起こりやすくなります。
②皮膚のトラブル
⇒お肌の乾燥やシワ、たるみ。粘膜系のトラブル、乳房の萎縮などが起こりやすくなります。
③骨粗しょう症
⇒骨を維持しているカルシウムの量を調整する働きが減退します。
④心臓、血管関係のトラブル
⇒血中のコレステロールの増加を抑制する機能が低下します。これによって、動脈硬化や心筋梗塞、脳の機能低下が起こりやすくなります。
また、女性ホルモンが減ると起こることとして、
・お肌をみずみずしく保つ⇒お肌のハリがなくなり、たるみやシワが増加します。
・髪の毛をつややかにする⇒髪の毛がパサパサになりやすくなります。
・血圧の上昇を防ぐ⇒高血圧症になりやすくなります。
・コレステロールの上昇を抑える⇒動脈硬化を引き起こしやすくなります。
・骨の密度を安定させる⇒骨粗しょう症になりやすくなります。
・動脈硬化を防ぐ⇒心臓病や脳卒中に注意する必要があります。
・女性らしい体を作る⇒乳房が小さくなり、身体にメリハリがなくなってきます。
・便秘を防止する⇒便秘しがちになります。
・冷えにくい体を作る⇒冷え症が重くなり、むくみやすくなります。
・自律神経を安定させる⇒イライラやうつ症状が出やすくなります。
・免疫能力を保つ⇒風邪などの病気にかかりやすくなります。
など、何かと大変なことになってきます
で、今回ご紹介する論文は、閉経後の骨粗鬆症と体重増加と肥満一般の治療に役立つ単一の薬剤の開発に役立つ可能性があるというお話です。
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骨量の減少と体内の内臓脂肪量の増加は、閉経の一般的な特徴だが、今回、Mone Zaidiたちの研究グループは、下垂体ホルモンの一種である卵胞刺激ホルモンに対する抗体療法を適用した結果、卵巣を切除したマウスの骨量が増加し、肥満が減少する過程を明らかにした。
この抗体療法は、高脂肪食を与えた標準的なマウスの肥満蓄積も減らした。この抗体療法を受けたマウスは、酸素消費、身体活動、褐色脂肪とベージュ脂肪細胞での熱産生が増加した。
現行の抗肥満治療薬は、食欲を減退させ、あるいは栄養の吸収を遮断することによって治療効果をあげる傾向があるが、その効能には限界があり、副作用が生じることもある。
Zaidiたちは、今回の論文で新たに発表された抗体をヒト化したものが、内臓脂肪が関係するその他の疾患(メタボリック症候群、心血管疾患、がん、糖尿病、多嚢胞性卵巣症など)にも使える可能性があるという考えを示している。
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ということで、マウスレベルでは、副作用のない抗体を使用することで、閉経後の変化、平たく言えば、更年期障害を軽減する効果が認めらたということになります。
マウスの抗体をヒト化すると、内臓脂肪関連の疾病にも効果が見込めるらしいので、いいお話かと思います。
が、例によって、お薬が実用化されるのに、10年はかかりますので、既に、身体の変化が訪れた方には間に合いませんので、既存の対処方法で、対応するしかありません。
症状が重たい方は、病院に行かれた方が宜しいかと思いますが、予防ならば、食事でも可能です。
大豆製品、あずき、山イモ、里イモなどは、女性ホルモンの代わりをするとも言われておりますので、お試しください。
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