エイジレスの200回 ガンの転移を防ぐ抗体

 

 本ブログも遂に200回達成です。

 

 と言っても、ほとんど論文ネタなのですが、このところ、研究のレベルが高度化してきているせいか、専門的過ぎて、一般の方には、理解しずらい話が増えてきています。

 

 おかげで、丁度いい頃合いのネタ探しに苦労することもあるのですが、論文自体は、たくさんあるので、何とか探し当てています。

 

 それにしても、研究者の方が、一生懸命に頑張って、論文を書いておられますが、そのほとんどが、人知れず、埋没しているのはもったいないなあと、いつも感じています。

 

今回は、多くの人に関係のあるかもしれないガンのお話です。

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 がんの転移を促進する特定の細胞型が発見され、マウスモデルの体の一部から別の部分への転移を防ぐ薬物が開発されたことを報告する論文が、今週掲載される。

 

 また、この論文では、食餌に含まれる脂質が、がんの転移において重要な役割を果たしていることが明確に示されている。

 

 転移は、がん関連死の主たる原因だが、ほとんどのがんについて、転移の引き金となる細胞が同定されておらず、そのために転移抑制治療の開発が難題となっている。

 

 今回、Salvador Aznar Benitahの研究グループは、ヒトの口腔がん検体に含まれる細胞型が脂肪酸受容体CD36を高発現し、マウスにおける転移能が高いことを明らかにした。

 

 そしてマウスのがんモデルを用いた実験で抗体を使ってCD36を遮断したところ、転移が有意に減少し、既存の転移巣が明らかに縮小あるいは消失した。

 

 この抗体に転移阻害効果があることは、マウスのがんモデルにヒトの口腔がん細胞を注入する実験だけでなく、ヒトの黒色腫細胞と乳がん細胞の場合にも認められた。

 

 この新知見は、腫瘍の転移の基盤に一般的な機構があり、CD36遮断療法の適用範囲が広範なものとなる可能性を示唆している。

 

 臨床的には、CD36発現細胞が存在していることが数多くのがんの予後不良と相関しており、マウスモデルにおいて高脂肪食がCD36発現細胞の転移能を高めていると考えられている。

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 つまり、脂肪酸受容体CD36というのが元気になると、ガンが転移しやすくなるということです。

 

 で、その原因の一つに、高脂肪食があるとのことです。

 

 ガンも広い意味では、生活習慣病的な側面もありますが、高脂肪食が、ガンの転移の一因であるならば、食事の習慣を改めるしかありません。

 

 CD36を遮断する抗体が確認されたとも言っておりますので、いずれ実用化されるかもしれませんが、例によって、長い年月が必要となりますので、自らを律して、ガン予防に励むのが宜しいかと思います。

 

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