121回 真菌が感染した脳組織が、アルツハイマー病の原因
年を取ると、どうしても、脳が衰えてくると考えがちですが、必ずしも、そうではないことが、最新の脳科学の研究は示しています。
そんな話の一つに、アルツハイマー病があります。
どうやら、アルツハイマー病の原因は、年齢ではなくて、真菌が感染したことによって、引き起こされているとの報告です。
アルツハイマー病患者の脳組織で真菌細胞と真菌菌糸が見つかったという初期研究の結果を報告する論文が、一年ほど前に発表されています。
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この研究で、Luis Carrascoたちは、顕微鏡と抗真菌抗体を用いて、11人のアルツハイマー病患者と10人の対照患者から採取した脳組織標本を調べた。
研究対象となった患者のうち、アルツハイマー病患者全員の脳組織切片から真菌細胞とその他の真菌材料が検出されたが、対照患者からは発見されなかった。
また、アルツハイマー病患者の血液試料には真菌の高分子(タンパク質、DNAなど)の存在が確認された。
Carrascoたちは、検出された真菌の形態的特徴がアルツハイマー病患者一人一人異なっているかもしれないと指摘しており、このことからは、存在する真菌種が症例ごとに異なっている可能性が示唆されている。
Carrascoたちは、今回の研究対象となったアルツハイマー病患者の年齢(62~92歳)を考慮し、適応免疫応答の弱いことが真菌感染症の出現の一因とする見解を示している。
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つまり、アルツハイマー病の患者さんの全ての脳細胞から、真菌細胞とその材料が発見されたとのこと。
で、どうやら、その真菌の種類によって、症状がことなっているとのことです。
真菌とは?
真菌はカビの仲間の総称で、細菌よりは大きい菌類です。
カンジダ、アスペルギルス、クリプトコッカス、ムコールなどが有名で、水虫も白癬菌による皮膚の真菌感染症です。
菌糸という根をはったり胞子を作ったりしてキノコみたいに増えます。
健常人でも皮膚、粘膜などに付着していますが、免疫力が正常だったり、そこに他の細菌が優位をしめているので真菌は負けてしまって増殖できません。
免疫力が低下すると悪さして感染を起こすのが特徴です。
アルツハイマー病の予防
水虫になられた経験のある方なら、お分かりかもしれませんが、真菌類が、一旦、繁殖すると、退治するのはやっかいです。
カビと同じように、胞子を作るため、防御力が強く、皮膚がやけどするぐらいのお湯でも、死にません。
人の細胞組織に寄り添うように、深くまで、根を張るため、表面的な対処方法では、根絶もできません。
感染してしまったら、色んなお薬が開発されていますので、それに頼ることになりますが、脳の中は、なかなか厄介です。
そこで、感染しないのが一番ですが、人が普通に生活しているところに存在しているので、避けることが難しいのも厄介です。
ということで、免疫力をおとさないことが一番です。
幸いなことに、人の免疫機能で、真菌の感染を防ぐことは可能ですので、元気でありさえすれば、怖いことは何もないというわけです。
が、加齢とともに、免疫力が低下していくのも事実ですので、免疫機能の7割を担当している腸内フローラ(腸内細菌叢(そう))を健全に保つ食事に心掛けるのが簡単かなと思います。
で、アルツハイマー病が気になる方は、食物繊維や植物性乳酸菌は、毎食、お召し上がりになられた方が宜しいかと思います。
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