第95回 報酬中枢の活性化が免疫機能を高める
 
 
 またまた、マウスでのお話なのですが、脳にある報酬中枢というところを活性化させると、免疫力が上がって、長寿や若返りにも効果的というお話です。 
 
 
「報酬中枢」とは
 
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・ 報酬中枢が存在しているのは、脳の側坐核(そくざかく)と言う部分です。

・ ドーパミンが分泌されている時、脳は、快楽を感じています。褒められたり、好きなことをしていたり、心地よい気分になった時には、脳内でドーパミンと言う神経伝達物質が分泌されます。

・ 「報酬中枢を活性化する」とは、仕事や勉強をしている時に、褒められたり、楽しいと感じることをしたりすることでドーパミンの分泌を促し、意欲を高め、集中力を高めて効率よく勉強や仕事をすることを目的としています。

・ ドーパミンが分泌されていると、仕事や作業の効率を高め、疲れを感じにくくなるのですが、分泌される量が多過ぎたり、感受性が高くなりすぎたりすると依存症に陥ってしまいます。

・ 注意をしなければならないのは、食べた時に「心地いい」と感じるものであれば、塩、砂糖、油などたっぷり含まれたジャンクフードや炭酸飲料でも、ドーパミンが異常に分泌され、常習性を増すと言うことです。
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 ということで、報酬中枢を活性化させると、デブになる危険性はあるものの、基本的には、人にとっていい作用をもたらします。
 
 
今回、明らかになったのは、
 
・ マウスを大腸菌に曝露する1日前にこの受容体を活性化しておくと、短期実験でも長期実験でも、末梢の免疫細胞の大腸菌に対する防御能が上昇することが分かった。
 
・ このような影響は末梢交感神経系を不活性化すると抑制されるので、この系が脳の報酬中枢の回路と末梢免疫系とを結びつけているらしい。
 
とのことです。
 
 今回の研究では、免疫機能に作用する直接的な仕組みは解明されていないのですが、報酬中枢系の活性化が、免疫機能を高めるのは、ほぼ間違いないとのことです。
 
 
 実は、ドーパミンは、「長寿」「若返り」にも効果があることが、別に研究でも明らかになっており、『The Journal of Neuroscience』に掲載されています。
 
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 ドーパミン受容体の多型性は活発さや活動的という特徴と関連があることが知られている。この受容体に関わる遺伝子の一つ、DRD4遺伝子(ドーパミンD4受容体)はその一部に何回か繰り返される部分があり、その繰り返しの回数はいくつかの種類があることが分かっている。

 
 今回、この繰り返しの回数が7回であるDRD4 7R遺伝子が90歳以上の高齢者に多く発現しており、マウスの研究でもこの遺伝子の発現と長寿に関連性があることがUniversity of California – Irvineの研究者らによって発見された。
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ドーパミンの増やし方
 
 褒められたり、好きなことをしていたり、心地よい気分になると、ドーパミンは、脳内からドバドバ放出されますので、兎に角、脳が喜ぶことをすればいいだけなので、簡単と言えば簡単です。
 
 お子様の教育に悩んでおられる方も、ひたすら褒めて育てるのも、一つの方法です。(つけあがらない程度に・・)
 
 ドーパミンは、上の図のような化合物で、生合成するには、原料が必要です。
 
 人は必須アミノ酸のフェニルアラニンとアミノ酸のチロシンを材料にして体内でドーパミンを合成します。
 
 フェニルアラニンは、必須アミノ酸なので人体では合成できず、食物を頼りにそれらから吸収するしかありません。
 
 一方、チロシンは、食物を分解して体内で合成することができますし、食物から直接吸収することも出来ます。
 
 
<フェニルアラニンを多く含む食べ物>
かつお
牛肉・羊肉・レバー
湯葉
きな粉
大豆(全粒)
豆腐
高野豆腐
アーモンド

黒酢
 
 
<ドーパミンを増やす食べ物>

 主に体への刺激となる成分を含むものです。代表的なところではカフェインを含むコーヒーや、スパイスをふんだんに含むカレーや激辛料理などです。
 
<ドーパミンを減らす食べ物>

 一方でドーパミンそのものを食事で減らすことは難しいですが、セロトニンを優位にすることでドーパミンの働きを抑制することは可能です。セロトニンはトリプトファンを摂取することで分泌が促進されることがわかっており、逆に不足するとセロトニンも不足します。
 
 
 ドーパミン(受容体)活性化の欠点は、何といっても、デブになる危険性です。トリプトファンもしっかり食べて、過剰なドーパミンは抑えましょう。
 
 因みに、トリプトファンは、肉や魚、牛乳などに豊富に含まれています。
 
 トリプトファンは、若返り酵素とも言われているNMN(ニコチンアミドモノヌクレオチド)の原料にもなりますので、沢山、食べてください(デブくならない程度に・・)
 
 
話題の美容成分NMN配合