犬と狼
ある日二匹の子犬が産まれました
母親は病気でした
精神に異常をきたしたその犬は
片方の子犬の耳と毛を引きちぎりました
それでも子犬は母親を疑いませんでした
もう一匹の子犬はただそれをみていました
やがて外の世界を知り
片方がもう一匹にいいました
僕たちは異常かもしれない
片方の子犬はよく意味が分かりませんでした
それよりもいつ怒られるのだろうと
心配していました
やがて外の世界が
家の中にもやってきました
そのころには
体も大きくなり、自立を覚え始めました
片方はもう片方の忠告を聞かず
自分と外の世界になんら疑問を持たず
想像すらしませんでした
それは保身をなくすということです
やがて片方の犬が悲しそうな顔をするようになりました
片方の犬はやっとその言葉の意味に気付き
世界と自分を憎みました
攻撃性は増していき
しかし認められることのないそのエネルギーは
ただただ拡散され、大事な力を奪っていきました
片方の犬は悲しそうでした
やがてそれぞれに好きな人や大事な人ができました
嫌われるのが怖くて自分を偽りました
片方じゃない犬に相談しました
そんなことよくあるさ
自分を偽るなんてよくあるさ
犬は安心しました
しかしそれは間違いでした
程度、度合いがこれほど大きく問題を変えることに相談者だけ気付きました
やがて思います
誰も悪くはないけれど
なぜか私は生きづらいので
そして誰にも受け入れてもらおうとは思わないので
どこかにいきます
片方の犬は悲しそうでしたが
黙って黙って
殺してあげました