文 坂口安吾 | tellvesper

文 坂口安吾

彼は芸術を夢みていた。その芸術の前ではただ一粒の塵埃じんあいでしかないような二百円の給料がどうして骨身にからみつき、生存の根底をゆさぶるような大きな苦悶になるのであろうか。生活の外形のみのことではなくその精神も魂も二百円に限定され、その卑小さを凝視して気も違わずに平然としていることが尚更なおさらなさけなくなるばかりであった。怒濤の時代に美が何物だい。芸術は無力だ! という部長の馬鹿馬鹿しい大声が、伊沢の胸にまるで違った真実をこめ鋭いそして巨大な力で食いこんでくる。ああ日本は敗ける。




白痴より



10月末よりUN GOという坂口安吾原作にアレンジを加えたアニメがノイタミナから放映されるそうです





lenojesca



かなりアレンジされているみたいなので、別物として楽しめそうですね