日常 金曜の羽衣 | tellvesper

日常 金曜の羽衣

帰りの電車の中で、私と彼女はよく端のスペースにもぐりこむ


彼女が最寄り駅で降りた後私はいつも2chのまとめスレ集を読むのだが、最近それもあきてきた


なんともなしにドアの開閉をみていた。後3駅ぐらいすれば私もこの電車を降りる。


金曜だからか人が多い。金曜の電車は普段と明らかに違う。


そこへ1人の女性が乗車してきた。


私の目の前を通り過ぎたその女性は薄いグレーとブルーが混じったカーディガンを羽織っていたのだが、襟に羽衣のようなフリルがついていた


およそ7センチぐらいの幅で、ほどよく波をうつその涼しげな襟もとは、少しばかりやつれきった人が多い金曜の車内では浮いて見えた。


しかしよく手入れされたその服と着ている女性の上品さがうまく調和し、異色ではなく異彩を放っていた



素敵だがいざ自分が着るとなると、つい無難なもので決をとってしまいそうになるそのギリギリのラインにいる、そのような服を着こなすその女性は、真っ白な白髪だった



何かの集まりの後だったのだろう。紙袋をもち、綺麗にセットされたショートの髪、ちらっとみえる白いパールのイヤリング。




早めにひきあげたいと常日頃思っている私ではあるが、あのようなおばあさんをみると老いに一匙の煌々を感じる。金曜の羽衣。