きっかけ

自分の考えを決めるのは、偶然ということをつくづく実感させてくれたのは、評論家中野剛志氏との出会いであった。
2011年は私の思想の大きな転換点であり、飛躍であった。

中野剛志との出会い

きっかけは、「とくダネ」に中野剛志氏が出演していたのをたまたま観たからである。
時は、東日本大震災があり、またTPPに参加するか否かで日本国内で色々議論があったときであった。
当初、元経産官僚で現在京都大学に勤めているということで、「自由貿易を推進して開国しましょう」といういつもの経済産業省のトークかと思っていた。
しかし、「経済効果の4兆円は10年の累計であって、そこが書いていない」「TPPの参加国のうち、日本とアメリカでGDPの9割を占めている。アジアの成長をどこで取り込むのか」「GDP5%の農業のために、残りの95%が犠牲になるについて、今被災している東北の農家の方々を見捨てるという意味か、被災している地域に対してよくそんなことが言えますね」など、切れ味鋭い言動で、TPPの参加についてその欠陥を指摘していた。経産省出身でありながら、出身母体の政策を批判する姿勢に驚き、さらにその論の正しさに衝撃を受けたことは今でも覚えている。

 

その後、すぐに本屋に駆け込み「TPP亡国論」を買って読んだが、その内容も凄かった。

内容はTPPだけにとどまらず、グローバリゼーションや自由貿易など、2011年時点では誰も間違っているとは思わなかった社会情勢や政策について論理と数値を使って反論していた。言うに及ばないが、TPPへの反論も勿論切れ味鋭いもだった。

本書において、TPPへの不都合な現実をあげると、①GDPは日米で9割以上を占め更に他の参加国は外需の依存度が高い②アメリカは輸出倍増戦略を掲げているので、アメリカへの輸出を増やすよう枠組みを構築するのは困難③農産物の輸入が増えて価格が安くなってもデフレを悪化させるだけ④関税はすでに低いので、関税交渉したところであまり効果がなく、円高の効果で一気に減殺してしまう、などがあげられている

それ以来、政府の出す資料について批判的な目を向けることや、抽象的な言葉に踊らされず、考えるということができるようになったと思う。
ただし、それで幸福になるということはなく、逆に不幸になってしまうのは悲劇である。
しかし、何も知らずただ生きるよりも、今のように原理原則をしったうえで不都合な真実と向き合える今の状況を私は感謝したい。

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