2024年の大統領選挙でトランプが勝利した後、彼の政権移行チームが国防長官としてピート・ヘグセス(1980年生)を指名した。
次の記事はヘグセスが承認公聴会に出る前に書かれたものである。
Why the religious beliefs of Trump defense pick Pete Hegseth matter
この記事の要約
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1. ヘグセス氏には深刻な疑惑がある
性的暴行、ハラスメント、飲酒、財務管理の不正などの重大な疑惑が報じられているが、本人は否定し「イエスによって変わった」と主張している。
2. 彼が属する宗教運動は「クリスチャン・リコンストラクション(Christian Reconstruction)」
2023年にテネシーへ移住し、この運動に基づく教会・学校コミュニティに参加した。
この運動は、
・聖書法に基づく国家
・公教育の廃止
・家父長制
・宗教と政治の完全な一体化
を目指す。
エバンジェリカルは「個人の救い」を中心とする広い福音派。 クリスチャン・リコンストラクションは「社会全体を聖書法で再構築する」神政政治運動。方向性も目的も、まったく異なる。
3. 旧約聖書(Old Testament)の法を現代社会に適用すべきと考える
クリスチャン・リコンストラクションは、旧約聖書の刑罰や規範を現代社会に適用すべきと主張する。
宗教と政治の区別は存在しない。
Old Testament =「古い契約」 = 神とイスラエルの民との契約を中心とするヘブライ語聖書(創世記〜マラキ書)
4. この運動は教育を通じて影響力を広げてきた
創始者ラシュドゥーニーの戦略は「公教育の解体」。
クリスチャン・スクールやホームスクール運動を通じて、聖書中心の世界観を広めてきた。
5. その影響はダグ・ウィルソンのネットワークに受け継がれた
アイダホ州モスクワの牧師ダグ・ウィルソンは、学校・教会・出版社・神学校を展開し、CREC(教会ネットワーク)とACCS(古典キリスト教学校協会)を通じて全国に同様のコミュニティを広げている。
6. CREC の教会は強い統制構造を持つ
・入会時に神学的審査
・長老への服従を誓約
・信仰が変われば異端審問
・トラブルは「世俗の裁判所」ではなく教会裁判へ
・長老はすべて男性
これらは虐待問題の温床になっていると指摘されている。
7. ヘグセス氏はこのネットワークに深く関わっている
テネシーで子どもを CREC 系学校に通わせ、自らも CREC 系教会に加入している。
8. 宗教と政治を分けない思想が、国防長官として問題になる
アメリカでは宗教を公的議論で避ける文化があるが、
ヘグセス氏が属する宗教コミュニティは、
政治と宗教を完全に一体化しており、
「聖書がすべての領域を支配すべき」と考える。
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おわりに
ヘグセスが属する教会は、政治と宗教の分離を否定し、聖書法に基づく国家を目指す強固な共同体であり、 その思想から離れることが制度的に不可能な人物を、トランプ移行チームが国防長官に選んだ。それは、 政権の軍事政策が宗教的イデオロギーの影響を受ける可能性があるという意味で極めて深刻な状況だ。