ライン・ミュラーソンの主張
YouTube動画タイトル「キッシンジャーの悪夢とヨーロッパの泥沼」より
アメリカの覇権的野心が中国、ロシア、イランをより緊密に結びつけており、キッシンジャーの最悪の悪夢が現実になりつつある一方で、ヨーロッパは自ら招いた泥沼にはまり込んでいる。
ライン・ミュラーソンについて
ゴルバチョフの法務顧問を務め、その後エストニアの外務次官となった人物です。
(動画は全体で43分, 以下のテキストは18:2318 分 23 秒からの文字起こし。一部、調整あり)
ミュラーソン :
私の見方ではワシントンの中でも興味深い駆け引きが行われている。
ただし トランプが、ヨーロッパでのアメリカの関与を減らし、ヨーロッパ自身がより多くの 責任を担うように望んでいたのは確か。
もちろんロシアを排除し続けることも 含めてであり、それもまたアメリカの利益に叶う。
何故か?
この世界観には興味深い矛盾がある 。アメリカ的な世界観だ。
一方でトランプは、ウクライナ戦争を終わらせるためだけでなく、おそらくそれ以上に経済問題、
ロシアのエネルギー資源、
レアアース、
その他の施設の利用について
ロシアと交渉 しており、さらに北極圏についてもロシアと話し合っている。
そして同時に、彼は ヨーロッパ諸国に軍備を強化し、防衛予算 ― 軍事予算というべき― を増やすよう促がしている。
もちろん誰もが、それを防衛予算と呼ぶのだが、ではそれは 誰に対してなのか。
もちろんヨーロッパではロシアに対してである。
つまり、アメリカあるいはトランプ政権は、ロシアと比較的正常な関係を持ちたいと考える一方で、ヨーロッパにはロシアと敵対的な関係を維持して欲しいと望んでいる。
これはヨーロッパの利益に反して おり、スペインの首相ペドロサンチェスのようにそのことを理解している人もいる 。
ヨーロッパにはこのような政治的矛盾を認識している勢力が多くする。
しかし、私の考えでは、それを理解するのはどのように理解したら良いのか本当に難しい。
あなたが言ったように、ロシアをヨーロッパ から遠ざけることは同時にロシ中国に近づけることにもなる。
そして同時に、アメリカ政権の政策には一貫性がないと、私は思う。
ディーセン :
正直なところ、私はヨーロッパの立場が理解出来ない。
というのも、アメリカにとってはトランプが平和主義者だとか、そういう単純な話ではないように見えるから。
彼は ロシアとの対立を完全に終わらせたいわけではない。
確かにロシアは主要な 競争相手ではないにせよ、依然として重要な勢力の一極です。
したがって、アメリカとしてはロシアを封じ込み時間をかけて弱体化させたい、と考えているでしょう。
しかし自国でそれを行いたくはない。
なぜなら、2国間関係を維持する必要があるから。
つまり、彼らはロシアとの対立や弱体化を自ら続ける気はなく、その役目をヨーロッパに肩代わりさせようとしているように、私には思える。
ですが、なぜヨーロッパがその重を背負いたいのか、私には理解できなん。
結局のところ、 もしヨーロッパが繁栄しより自立したいのであれば、軍事的な分断戦によって再び分けられた大陸を持つことは理に叶ってい ない。
私には、NATO拡大の決定は予想通りロシアを敵に回す結果となったものの、アメリカがヨーロッパにおいて持続的な役割と存在感を維持するために支払うことをしなかった代償のように思える。
ですが、今やアメリカが転換しつつある中で、なぜそれに固執するのか?
なぜ私たちはこのように分断されたままでいることを 許しているのか?
それは私たちが アメリカの安全保障に過度に依存し、自立性を失っているからです。
その結果、 ヨーロッパは不安定化し経済的な繁栄も損われ、世界における存在感も低下しい る。
方向転換し多様化を図る方が理に叶っているのではないのか。
私にはこれが 全く理解できない。
これこそがヨーロッパ人について私が理解できない 唯一のことなのだ。
(ミュラーソン)
まあ誰も彼らのことを本当に理解できていないのだ。
そして私たちはどちらもヨーロッパ人だから同じように考え、同じように苦しんでいる。
私はロンドンに住む エストニアの市民だが、ウクライナでの紛争や対ロシア制裁などの影響で各国や社会がどれほど苦しんでいるかを目の当たりにしている。
でも、問題は何故かということだ。
おそらく誰もがそうだろう。
私の考えでは、トランプ政権や彼の政策と比較すると、トランプは比較的新参者だ。
彼はウクライナの戦争は自分の戦争ではない、 我々の戦争ではない、それはバイデンの 戦争だ、と言うことができる。
もし彼がバイデンの代わりに大統領に選ばれていたならその戦争は起こらなかっただろう、と彼は言っている。
しかしそれが真実である可能性もある。
多くのアメリカの政治家は、
それは私たちの戦争ではない、関与しないと言ったり、 世界の他の地域に優先すべき課題がある
と主張したりするかもしれない。
だが、現在のヨーロッパの指導者たちはそうは言えない 。
私が記事で書いたようにヨーロッパ諸国は自らの利益に反してこの紛争に引きずり込まれたのだ。
彼らのほとんどは 従属的な立場に置かれ、その結果イギリス、エストニア、ポーランドなどの政府のようにアメリカの政策に多かれ少なかれ、自発的に、時には制裁圧力の下に、従ったのである。
彼らにとってその問題に関する意見を変えることは不可能だ。
それは政治的自殺行為*になる。
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補足説明
政治的自殺行為
「意見を変えることは政治的自殺行為になる」ということ。
つまり:
- 制裁をやめる
- ロシアとの対話を再開する
- アメリカから距離を置く
これらはすべて、国内政治で致命的なダメージになる。