「もし万が一、FX業者が経営破綻してしま
ったら、その資産はどうなってしまうのか」
「違法行為を行っているFX会社に資金を奪
われることはないのだろうか」といった、
大切な資金をFX会社に預ける際、不安を感
じている方も多いでしょう。
しかし、国内に存在する多くのFX会社は、
「信託保全」という制度を導入しており、
資産は保護されています。
今回の記事では、信託保全の概要や種類、
国内FX業者における信託保全の状況につい
て紹介していきます。
■信託保全とは?FX業者が破綻してもユー
ザーの資産を保護する制度
信託保全とは、顧客から預かる資金とFX業
者が所有している資産を区分して、信託銀
行に委託して管理を行ったり、保全したり
する制度のことです。
この管理方法は金融商品取引法や関連法令
などの法律で義務化されています。
信託保全のシステムが機能していることで
万が一FX会社が破綻してしまった際におい
ても、私たちが預けた資金は守られます。
破綻の影響で、FX業者の資産が差し押さえ
処分となっても、顧客の財産は差し押さえ
の対象とはなりません。
信託財産は、信託銀行などの第三者が管理
を行うので、万が一破綻しても、顧客の資
金については返済されるシステムになって
いるのです。
■2種類の信託保全を解説
投資家にとって心強い信託保全には2種類
あります。
FX業者が信託契約を締結した金融機関の信
託口座に、証拠金などを「全て」預け入れ
るものと、「一部」を預け入れるものです。
前者であれば、破綻した際には全額返還さ
れますが、後者では返還額に上限が設けら
れています。
ほかには、信託口座を利用せず、FX会社が
自社で管理を行うという方法もあります。
それぞれの特徴について解説していきます。
① 信託保全の種類……完全信託保全
まず1つめは「完全信託保全」です。
顧客の全資産を委託している金融機関の信
託口座に預金することで、FX業者の資産と
は完全に分割された状態で管理を行ってい
ます。
保全対象は次の通りとなります。
1.証拠金
2.決済損益
3.評価損益やスワップポイントの加減算
後の全額
今では、法律によって完全信託保全による
顧客の資産管理が義務付けられており、国
内における全てのFX業者がこの制度を導入
しています。
完全信託保全であれば、もしFX会社が経営
破綻しても、投資家の資産は全額補償され
ます。
② 信託保全の種類……一部信託保全
2つめが「一部信託保全」です。
投資家から預かる資金の一部のみを信託口
座に預けて、残りの全てをFX業者側で管理
します。
もしFX業者が破綻してしまった際は、投資
家に返還される補償額に上限が設けられて
いる制度です。
過去には、少数のFX業者が「一部信託保全
」を採り入れていました。
あるFX業者では、代表が投資家の預けた資
金を私的に流用してしまうという事件もあ
りました。
現在、一部信託保全を行うFX業者は日本国
内には存在しません。
③ 信託保全の種類……分別保管
信託保全とはまた違った資産管理方法に
「分別保管」というものもあります。
海外のFX業者の多くがこの「分別保管」を
採り入れています。
これは第三者の信託口座を使用せず、自社
で資金管理を行う方法です。
投資家から預かる資金とFX業者の自己資産
を、完全に自社内で分けて管理します。
この方法であれば、FX業者が経営破綻しな
い限り、投資家が預ける資金においては安
全です。
ただし、FX業者が経営破綻した際は、分別
保管する口座も含めて差し押さえとなる可
能性もあるでしょう。
つまり、分別保管では預けた資金が必ず投
資家に戻ってくるとは限らないということ
です。
■FX業者が破綻することはあるのか?
FX業者が破綻することはありえますが、可
能性としてはかなり低いです。
国内のFX業者であれば、レバレッジ規制に
よる強制決済によって、破綻リスクが抑制
されているためです。
とは言っても、絶対に破綻しないという確
かな証拠はなく、過去には破綻事例もあり
ます。
そこで、信託保全があったにもかかわらず
実際に破綻してしまったFX業者の事例や、
破綻した後に資金がどうなったのかを紹介
していきます。
●日本のFX会社における破綻事例
今では、国内におけるFX業者であれば、完
全信託保全の導入が義務付けられています
ので、安心安全な取引が可能となっていま
す。
しかし、1998年から2008年頃までは、顧客
から預かった資産を自社の資産とまとめて
管理していた業者が多く存在していたこと
も事実です。
そこで、これまで実際に倒産したFX業者の
破綻例を見ていきましょう。
また倒産だけでなく、廃業にも注意しなけ
ればなりません。
業者名 |
破綻時期 |
内容 |
札幌FX |
2007年10
月 |
サブプライム
取引で失敗
し、23億の借
金を抱える |
アルファー
FX |
2007年11
月 |
会社関係者が
資金を持ち出
し、夜逃げした
とされている |
日本ファー
スト証券 |
2008年3
月 |
30億以上の負
債を抱え破綻
した |
この他に、2008年9月にトレイダーズFXが
事業停止をしたり、2011年にはひまわり証
券がリーマンショックの影響を受けて業務
停止に追い込まれたりしました。
更には、2011年11月に121証券の自己資本
率が100%を切ってしまい、行政処分とな
っています。
ここで紹介した事例以外に、廃業を余儀無
くされたFX業者もあり、破綻だけでなく廃
業にも注意を払う必要があるでしょう。
●破綻したときユーザーの資産はどうなっ
たか?
FX業者が破綻した場合、自身が預けた資産
はどうなってしまうのでしょうか。
2007年に破綻した札幌FXを例に見てみまし
ょう。
札幌FXは、資産の適正管理のために定めら
れている「金融商品取引法」に違反し、大
きな損失を与えたとして業務停止命令を受
け破産しました。
このとき、債権者に最終的に配当されたの
は「5%」だけだったとされています。
当時、金融庁が行った緊急調査によると、
自社が持っている資産と顧客から預かって
いる資産を同一の口座で管理する業者が全
体の4割以上にものぼったといいます。
また「証拠金返還ゼロ」という事例も過去
にありました。
金融庁はこれらの経験から今までの制度を
改正し、自社資産と顧客資産を分割して管
理するように信託保全の導入を義務付けた
のです。
■国内FX業者の信託保全状況は?
上述したように、国内のFX業者においては
完全信託保全を採用しています。
どの業者でも安心して取引することが可能
となっています。
■投資家の資産は安全に保護、返還される
ので安心
これまで信託保全の概要・種類・国内のFX
業者における信託保全状況などについて紹
介してきました。
例え、FX業者や信託保全先が経営破綻する
ようなことがあっても、投資家が預けてい
る資産については安全に保護され、必ず手
元に戻ってくるように法律で定められてい
ます。
よって、国内のFX業者であれば、お金につ
いての心配は不要であり、安心してFX取引
を開始できます。
ただし、FX取引を行う中で生じた利益や損
失については、自分自身で管理する必要が
あります。
リスクヘッジや自己資金の管理など、安定
したトレードを心がけましょう。
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