現在、日本のジェネリック医薬品は、以下のような理由により欧米に比べてかなり低いシェアにとどまっています。


1.ジェネリック医薬品に切り替える煩わしさ
使い慣れた新薬をジェネリック医薬品に切り替える場合、例えば、名称変更に伴うコンピュータデータの変更やこれに伴うシステム投資、処方する医師や薬剤師への新名称の浸透普及、患者さんへの説明など、面倒な手続きが生じます。日本では一般的に薬のブランド名に親しんでいる傾向があるため、心理的にも実務的にも大きなわずらわしさが伴います。

2.品質や情報に対する不安
日本国内のジェネリック医薬品メーカーは中小企業が多く、これまでは品質に対する漠然とした不安がありました。また、大手新薬メーカーに比べMR(医薬情報担当者)も少なく、情報の乏しさも問題とされていました。しかし、最近では品質再評価により公的な品質の担保も確立されつつあり、品質や情報に対する不安はありません。

3.薬価制度の問題
現在の日本の薬価制度は、発売されてから長い年月が経ち特許も切れた薬を、積極的にジェネリック医薬品に切り替えていくような制度になっていないため、結果としてジェネリック医薬品の使用は促進されません。しかし日本においても年々医療費は増大しており、薬価制度を含め抜本的な医療制度の見直しが進められています。

4.代替調剤(だいたいちょうざい)が認められていない
代替調剤とは、医師が処方した医薬品を、薬の専門家である薬剤師が品質とコストを考慮し、患者さんの同意の上で同一成分の他の名称の医薬品に替えることが認められている制度です。これにより、患者自身が新薬かジェネリック医薬品かを選択することができます。欧米では一般的に代替調剤が認められていますが、日本ではまだ認められていません。

このような状況の中、日本においてもジェネリック医薬品の活用は医療費節減のための重要な選択肢のひとつであると認識されつつあり、ジェネリックメーカーや厚生労働省のリーダーシップでいろいろな普及活動が進められています。  
 
日本ジェネリック研究会
現場の医師?薬剤師、研究者、さらに市民(患者)をも巻き込んだユーザーサイドに立つことを目指すジェネリック医薬品の研究会。調査研究、品質承認、一般市民への啓発普及活動などを行っている。