■総務部時代のエピソード


 プルル・・・・内線が回ってきた。


 「はい。榊ですが」


 「お世話になっております。○○販売のAです。今、ちょっとお時間ありますか?」


 まぁ、時間がないわけではない。総務なんてのは月初・月末やイベントごと以外はだいたいヒマだ。


 ただ、おもいっきりヒマに思われるのもシャクなので、


 「ええ、少しなら空いてますけど」と答えた。


 「あ、そうですか。実は今、御社の前まで来てまして・・・・」


 なんだ、じゃぁ受付で呼べばいいのに。


 「えっ?そうなんですか。」


 「実は、新しいプリンターを持って来てまして・・・・ちょっと見てもらえないかなぁと」


 ええっ? 正直ちょっと驚いた。


 当然業務用だろうから、そんなデカイものどこに・・・って受付とかにおいてんじゃねーだろうな!


 「ちょ、ちょっと、どういうことですか?」


 「いやぁーとにかくモノを見ていただきたくて、持ってきたんですよ。表に来ていただけませんか?」


 と、販売会社のAはさわやかに言う。


 ったく。もし、受付とかに置かれて、邪魔になってたら怒られるのオレだしな。いくしかねぇな。


 足取り重く外に出ると、道路脇に止めた一台の大きなワゴンの前でAが手を振っていた。


 「榊さん~!!こちらです!!」


 ワンボックスのドアが空いて、中に促された。


 ・・・・・なんか、誘拐されるみたいだな・・・・・・


 えええっ!!!


 中に入って驚いた!!


 ワンボックスの中に新製品のプリンターがおいてあったのだ!!


 「榊さんにみてもらいたくて、持ってきたんですよ!今からちょっとデモするんで、見て下さい!」


 ・・・・・・性能は確かにすごかった。しかし、それ以上にこの営業のやり方にも驚いた。


 


 この手の販売会社は、何かと「フェア」に来てくれと、チラシを残していく。


 この「デモ」を見せられる前に、同じように”チラシ”はもらっていたのだが、無視していた。

 (いうか、忙しかった・・・)


 まさか、出前で「フェア」をやりにくるとは!!


 予算は決まっていたので、どうしようもなかったが、正直インパクトはかなりあった。


 予算策定中なら、購入を検討していたかもしれない・・・・・と思った。




 プリンターはどうにも差別化しにくい。シガラミがなければ、どこのメーカーでもいいのが


 普通だろうし、判断基準は既存のものになってしまうのは至極当然だ。

 (リンギが通しやすいしね)

 

 だいたい、紙の資料じゃ、実感を湧かせにくいし。


 

 なんでもかんでも、持っていけばいいってもんじゃないが、こういうやり方は十分ありだと思う。