独立人事総務業務請負人(人事総務IC)の木村勝です。
11月2日に厚生労働省から「新規学卒者の離職状況(平成23年3月卒業者の状況)」が公表されています。
この調査は事業所からハローワークに対して、雇用保険の加入届が提出された新規被保険者資格取得者の生年月日、資格取得加入日等、資格取得理由から各学歴ごとに新規学校卒業者と推定される就職者数を算出し、更にその離職日から離職者数・離職率を算出したデータをもとにつくられています。
新規学卒者の卒業後3年以内離職率はどうなっているかというと---
○大学 32.5%(前年比+1.4P)
○高校 39.6%(同 +1.3P)
○中学 64.8%(同 +2.7P)
といずれの学歴でも増加しています。
離職率は、企業の規模が小さくなるほど高くなり、1000人以上の企業規模では、22.8%に対して5~29人規模の会社では51.4%と半分以上の新卒が3年以内に退職していることになります。
また、業種で見ると、大学では最も高いのが「宿泊業・飲食サービス業」で52.3%(前年比+1.3P)、続いて「生活関連サービス業・娯楽業」の48.6%(同+3.2P)となっています。
内定率が低い時に卒業した者の3年以内離職率は高くなる傾向にあると厚生労働省資料でもコメントがありますが、意にそぐわない就職をした学卒者が多い年度ほど3年以内離職率が上がるというのもわかるような気がします。
それにしても大卒で32.5%という離職率は高いですね。
新卒の3人に1人は企業に定着せずに3年以内の辞めていることになります。
学卒者の離職率が上がったのは最近の傾向という印象がありますが、当方が新卒として入社した年次の少し後昭和62年のデータを見ると28.4%と意外にもその頃からそこそこ高い離職率であったことがわかります。
企業としては、高い採用経費をかけて確保した新卒者が戦力化する以前に退職していくという事態はまず早急に防がなくてはならないところです(当初から使い捨て労働力として退職前提に新卒補充を行っているいわゆる”ブラック企業”は別ですが)
11月7日には厚生労働省から「キャリア支援企業表彰2014~人を育て・人が育つ企業表彰~」決定が公表されています。
みずほフィナンシャルグループといったメガバンクから従業員数28名のホテル(ホテルさかえや)まで10社の企業が受賞されています。
受賞企業の具体的な取り組みが紹介されていますが、ほとんどの企業がキャリア面談の機会を設け、特に若年層に対する面談を意識的に行っている様子がうかがえます。
該当企業の新卒離職率のデータはわかりませんが、おそらく企業規模に関わらず低い数字になっているに違いありません。
入社して定年まで一つの企業に継続して勤務するということが今後はありえないとは思いますが、企業から見ると第一線で戦力として活躍してもらう期間は少しでも長くとりたいところですし、働く側としても就職した企業での業務経験・スキルはきちんと自分の売り物として仕上げたいところです。
「石の上に3年」といいますが、昨今の労働環境を見ると長く我慢すればいいことがあるとは必ずしもいえませんが、やはり「石の上にも5年」くらいは縁あって従事することとなった仕事に真っ向から向き合い、したたかに売り物となる業務スキルを獲得してもらいたいところです。
企業の中期経営計画は5年間で組んでいる場合が多いかと思いますが、5年間という企業活動のサイクルを一巡経験して次のステップに挑戦するのがやはり得策だと思います。
当方長年人事業務に携わってきましたが、昔の感覚かもしれませんが、やはり3年以内に離職と5年経験してからの離職では採用サイドでは受取りイメージが違います。
「自分のやりたい仕事」に固執するだけでなく、まずは自分の方向性を幅広くとらえながら、新入社員時しか経験できない入社5年間企業での経験を血肉化していければ損はないと思います。
まずは「石の上にも5年」
「初めの石に5年」坐ってから「次の石に移る」というキャリアコースなどおススメだと思いますが、皆様の感覚はいかがでしょうか!