平成26年度「高齢者の雇用状況」~98.1%の企業で雇用確保措置済~ | ものづくり企業の人事総務をワンストップで専門サポートするインディペンデント・コントラクター(IC独立業務請負人)が日頃思うこと

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大手自動車会社での30年の人事総務経験を経て,2014年にIC・行政書士として独立しました。グローバル化進展の中、業務のアウトソーシング化など荒波にさらされつつある人事総務部ですが、企業活動を支える総務系業務の重要性・専門性など日頃思うところを語ります

独立人事総務請負人(人事総務IC)の木村勝です。

10月31日に厚生労働省から平成26年「高年齢者の雇用状況」集計結果が公表されています。

この調査は、2013年6月1日現在での高年齢者を65歳まで雇用するための「高年齢者雇用確保措置」の実施状況などをまとめたものです。

高年齢雇用安定法が改正され、施行になったのが昨年2012年4月ですので、改正後の状況が今回の調査結果でわかります。

まず、高年齢者雇用確保措置の実施状況です。
雇用確保措置とは
 ①定年制の廃止
 ②定年の引き上げ
 ③継続雇用制度の導入
のことですが、2012年4月から企業に対して上記いずれかの措置を講ずることを義務付けて
います。

確保措置を実施済の企業の割合ですが
 ・中小企業(31~300人規模の企業)  98.0%
 ・大企業(301人以上)  99.5%
となっています。
法律による義務化ですので、当然といえば当然の結果ですが、65歳までの雇用確保の措置導入が進んでいることがわかります。

この調査では更に65歳以上まで働ける会社、70歳以上まで働ける会社についても調査しています。

65歳以上まで働ける会社は、中小企業で73.2%、大企業で51.9%
70歳以上まで働ける会社は、中小企業で19.8%、大企業でも11.8%という数字になっています。
まさに生涯現役サラリーマンを絵に描いたような数字になっています。

当方サラリーマン生活を卒業し自由業になってから、ボランティア的な活動を含めいろいろな活動に参画していますが、そうした団体の事務局のかたのお話をうかがうと、今回の高年齢雇用安定法改正により、そうした企業外での活動スタートの時期が明らかに遅くなっているということです。

従来は60歳で一応定年、仕事もやりながら外部のボランティア活動にも参加という方々が多かったようですが、調査結果にも表れているように65歳までの継続勤務が当然になってきていますので、今後は65歳(あるいは70歳以降)に会社外の活動にデビューということになりそうです。

周囲がほぼ全員再雇用等で65歳まで今までの会社に勤務するという状況下では、65歳以前で自らのコースを変更するという決断は少数派となり、かえって勇気がいる決断になるかもしれません。

生涯現役は望むべき方向性ではありますが、同じ企業で勤務を継続するという選択だけではなく、今までとは違ったコースでの生涯現役を目指せるような方向性も必要だと思います。

(企業も個人にとっても問題は少ないと思いますが)例えば60歳以降は企業も副業禁止を明確に外すなどの対応をするだけでも、”従来の延長でずるずる再雇用期限まで勤務”というコースは避けられるような気がします。

何度も書いていますが、一度大病を経験した人間からみると、70歳から自分のやりたかったことを始めるという人生設計はかなりリスクあるような気がします。

60歳定年の実質的な意味合いがなくなった今こそ、『自分一人で独自の定年時期を決めて第二の人生のスタートを切る』ことも重要だと思いますが、いかがでしょうか。