独立人事業務請負人(人事IC)の木村勝です。
2014年6月13日に開催された第13回目の『「多様な正社員」の普及・拡大のための有識者懇談会』報告書骨子(案)が厚生労働省HPに掲載されました。
この懇談会ですが、昨年6月14日に閣議決定された「日本再興戦略」において、
「職務等に着目した『多様な正社員』モデルの普及・促進を図るため、成功事例の収集、周
知・啓発を行うとともに、有識者懇談会を今年中に立ち上げ、労働条件の明示等、雇用管
理上の留意点について来年度中のできるだけ早期にとりまとめ、速やかに周知を図る」
とされていることを受けて、昨年来開催されてきたものです。
有識者懇親会の名前の通り、メンバーは全員大学の先生方です。
審議会である労働条件分科会とは、分科会長代理である山川隆一東京大学大学院教授のみがダブっている構成です。
有識者懇談会という軽い印象を受けるネーミングですが、今後審議会で論議する際には、この報告書の内容が影響力を持ちますので、その意味では今後の各社での人事制度企画に際しては常に頭に入れておかなければならない報告書だと思います。
そもそもこの「多様な正社員」に関する対応は、2013年4月施行の労働契約法第18条による有期労働契約の5年更新による無期契約への転換の受け皿として検討が始まったように記憶しています。
その後の人手不足の雇用環境変化もあり、アパレル、外食産業等をはじめとして、非正規雇用従業員の積極的な正社員化の動きが広がっていますので、このタイミングにこの報告書が出たことは時宜を得たことだと思います。
報告書は、現状の各社の実態調査を踏まえ、(1)勤務地限定正社員、(2)職務限定正社員、(3)勤務時間限定正社員、の3つのパターン毎に、限定内容の明示方法や制度間の転換ルール、あるいは処遇のあり方など多岐にわたって提言されています。
報告書には、労働契約書での規定例まで掲載されていますので、これからこうした新たな制度を導入しようとしている企業の人事の方には必見の報告書です。
日本社会の環境変化に対して従来のような高度成長期にその思想的ベースを持つ現行の人事制度では受けきれなくなってきているというのが現実だと思います。
親の介護、子供の療養支援--
人生で起こる様々なイベントに柔軟に対応できるような人事制度の構築は、企業の魅力度を高め、ワークライフバランス、労働者のメンタルヘルス、ダイバーシティ推進など諸課題解決につながる可能性があります。
人事担当の方、ご一読おススメします。