独立人事業務請負人(人事IC)の木村勝です。
2014年6月13日(金)の日経経済教室に「従業員のメンタルヘルス~企業業績に影響大~」という記事が出ていました。
ストレスチェックの義務化がまさに今国会で論議されていますが、今後企業におけるメンタルヘルスに対する企業の取り組みは、ますます関与の度合いを深めることが要請されることになると思います。
話題の「ホワイトカラーエグゼンプション」論議に関しても、現在のところは残業代ゼロの部分のみに焦点が当たっていますが、今後進められるであろう具体的な法制化のプロセスにおいては、導入企業に対する健診やメンタルヘルス面での取組強化が求められることは間違いないところだと思います。
最近は、メンタルヘルス取組の重要性も浸透しつつありますが、まだまだ「頑張りが効かない」「ストレス耐性が弱い」など、個人に起因するところが大きいという意識を持っている経営者・管理職の方々も多く、人事の担当者としては、メンタルヘルスの取り組みの重要性を感じていてもなかなか前向きな取組みにまで引っ張っていくには労力がいる部分だと思います。
メンタルヘルス対策を取ることの目に見える定量的な効果がなかなか示しづらいこともその要因の一つだと思います。
今回の経済産業研究所の研究プロジェクトでは、従業員のメンタルヘルス不調と売上高利益率の関係について調査を行っています。
詳細は、ぜひ経済産業研究所HPにある調査結果を見て頂ければと思いますが、概要をご紹介すると以下の通りです。
①メンタルヘルスの不調が企業業績に与える影響を検証したところ、メンタルヘルス休職者比率は2年程度のタイムラグを伴って売上高利益率に負の影響を与える可能性が示された
②休職者比率は長時間労働で高くなる一方で、フレックスタイム制度やワークライフバランス推進組織の設置により低くなる可能性が一部でみられた。
等々です。
この研究の中で、メンタルヘルスの休職者比率が労働慣行や職場管理の悪さの代理指標あるいは先行指標になっている可能性があるという指摘は重要です。
各企業の休職者比率は、なかなか表には出てきませんが、特に同業他社に比較して休職者比率が高いor上昇傾向にあるといった企業は要注意です。
経営者・管理職層も企業業績悪化の先行指標として危機感を持って捉える必要があると思います。
なかなか明確なプロセス解析は難しいとは思いますが、こうした数値による実証研究が増えていくことにより、企業におけるこの分野への取組充実が進んでいくことは望ましい方向です。
また、中長期での視点からみれば、この分野の改善は、今後の日本成長戦略推進の基盤となることは間違いありません。
人事担当者であれば、このあたりのデータはお持ちだと思いますので、まずは自分の会社の過去データをトレースしてみてはいかがでしょうか。