厚生労働省「職業能力評価基準」をご存知でしょうか? | ものづくり企業の人事総務をワンストップで専門サポートするインディペンデント・コントラクター(IC独立業務請負人)が日頃思うこと

ものづくり企業の人事総務をワンストップで専門サポートするインディペンデント・コントラクター(IC独立業務請負人)が日頃思うこと

大手自動車会社での30年の人事総務経験を経て,2014年にIC・行政書士として独立しました。グローバル化進展の中、業務のアウトソーシング化など荒波にさらされつつある人事総務部ですが、企業活動を支える総務系業務の重要性・専門性など日頃思うところを語ります

独立人事業務請負人(人事IC)の木村勝です。

2014年5月30日厚生労働省HPに”「信用金庫業」、「鋳造業」の職業能力評価基準が完成”という記事が公表されています。

職業能力評価基準は、技能検定制度がカバーしていない分野を含めた幅広い業種・職種を対象に、平成14年から国と業界団体との連携のもと策定しているもので、各企業では、この基準をカスタマイズの上、能力開発指針、職能要件書及び採用選考時の基準などに活用することを想定して始まった事業です。

現在業種横断的な経理・人事など事務系9職種、現業系職種を中心に52業種が完成しています。

当方の場合、平成17年に完成した「自動車製造業」の策定に際して、日本自動車工業会事務局の立場で策定に係った経験があるのでその存在はもちろん知っていますが、残念ながら「職業能力評価基準」といっても、人事部でも現場系教育担当の方くらいしかその存在は知られていないかもしれません。

こうした統一した能力評価基準作りは難しいです。

当方事務屋ですので、鋳造に関して専門知識はありませんが、以前鋳造部門を持つ事業所に人事として勤務していた経験があります。

そこはアルミ鋳造が中心でしたが、湿度、気温など微妙な環境の変化、金型と鋳造マシンの組み合わせで微妙に出来上がり品質が異なり、製造部隊は苦労していました。

アルミ製品の場合には、後工程の機械加工で表面を削ってみて初めて巣(溶湯が完全に回らずにできる細い空洞のようなもの)が発覚することが多いので、なおさら面倒です。

こうした品質管理上の重要ポイント部分は、現場での職人的な経験、勘所が必要なのですが、こうした内容まで職業能力基準に落とし込みことはできませんので、どうしても基準は管理面、あるいは初歩的な基本的な技能部分が中心にならざるえを得ない部分があります。

こうした点も今一つ活用が進まない原因だと思います。

人事部研修担当の方の中には、現在職務ベースで能力評価の基準策定を検討されている方もいらっしゃるかと思います。

事務的職種でも、「経営戦略」、「人事・人材開発・労務管理」、「企業法務・総務・広報」、「経理・財務管理」、「経営情報システム」、「営業・マーケティング・広告」、「生産管理」、「ロジスティクス」、「国際事業」が完成しています。

各業種のメンバーがかなりの時間をかけてせっかく策定した基準です。
ぜひ一度ご覧頂き、関連業種・職種の基準作りの参考にして頂ければと思います。

各社で独自の職種別の評価基準を策定する際には、かなり役に立つ資料があります。

具体的には、中央職業能力開発協会HPの「職業能力評価」に完成した全職種の資料がありますので、ご活用下さい。

時間をかけて策定したこうした基準を宝の持ち腐れにするのはもったいないです。