独立人事業務請負人(人事IC)の木村勝です。
昨日(5/21)毎日新聞朝刊に『「65歳超でも仕事」半数』というタイトルで高齢社会白書の内容が紹介されていました。
高齢社会白書は、1995年制定の「高齢社会対策基本法」に基づき、1996年から内閣府が公表している白書です。
白書ですので、閣議決定を経て、正式には例年通り6月に発表・刊行されることになります。
”現役世代で「65歳を超えても働きたい」と思っている人が約半数に上り、60歳以降も働きたい人の8割弱が「生活費を得たい」を理由にしているという結果が出ているようです。
高年齢者雇用安定法施行により、”何となく65歳までは勤務継続できるのかな~”という不安交じりの期待を持ちながら、生活のためには、更に65歳以降の就労も考えなければという感じだと思います。
先日もコメントしましたが、2013年4月の高年齢者雇用安定法の改正により、今までは労使による再雇用基準の高いハードルを見て初めから再雇用の申出すら断念していた人も、これからは再雇用の対象になってきますので、60歳以降65歳までの就労率は確実にあがります。
もちろん労使協定の経過措置を適用していきなり65歳までの再雇用ということでなく、段階的にあげていくことも(以前から労使協定を締結している場合には)可能です。
しかしながら、企業としては基準に従って段階的に制度運用していくのもかえって管理が大変な気がします。
働く側としては、65歳以降の働き方については、65歳になってから考えてももう手遅れで、60歳前から自ら将来のプランを立てておく必要があります。
60歳以降65歳までの再雇用制度(会社によっては、定年延長、継続雇用などもあるかと思います)については、その賃金水準、勤務時間、あるいは全世代を通した賃金カーブの検討などの労働条件は、まだまだ検討が不十分で煮詰まっていないというのが各社の実態だと思います。
6月のアベノミクス成長戦略により、景気回復の基調が鮮明になってくれば、人手不足の中での貴重な労働力として60歳以降の処遇も明るい前向きな条件設定になっていく可能性もありますが、そうでない経済環境が到来すると、なかなか厳しい制度になるものと予想されます。
しっかり前持って考えずに、他律的に流されるとあまり明るい未来は読めないような気がします。
それにしても、白書の種類も増えたものです。
こうした白書が増えることによって、貴重なデータをわかりやすく理解することができます。
6月に正式刊行後にはじっくりまた読んでみたいと思います。
(昔は霞が関の政府刊行物センターまで買いに行きましたが、今はインターネットでアクセスできます。便利になりました)