独立人事業務請負人(人事IC)の木村勝です。
先週発売の週刊現代に”「パソコン禁止」「運動会」「社員旅行」が会社を強くする”という特集記事が組まれていました。
当方が会社に入社したのは今から30年前ですが、記事で取り上げられていたような福利厚生制度やイベント(文化体育活動と呼んでいました)が当たり前のように行われていた時期でした。
入社は、相部屋の独身寮(途中から一人部屋)、会社&組合主催の双方の運動会があり、泊まりの社員旅行が定例行事として行われていました。
地方販売会社勤務の際には、大規模独身寮などありませんので、アパートの一室借り上げで一部屋に3人で入居していました。
これなど今はやりのシェアハウスそのものです。
高度成長時代に社員定着のために導入されたこうした各種の制度も、バブル崩壊、その後の景気低迷の2000年以降には、急激に制度の廃止や縮小が各社で行われてきました。
独身寮や社宅については、高度成長期に建設された建物の耐用期限に到達し、大規模修繕が必要になったこと、景気低迷期に4月定期採用の中断され、新入社員ゼロといった世代間の断絶が起きたことなども、その制度廃止に拍車をかけたものと想像します。
自らの体験からいうと、新入社員時の独身寮制度は、入居者本人にも会社にも大きな効果があるように思います。
入居した本人には、同じ釜の飯を食った仲間として、その連携は部署を超えて(場合によっては会社を退社後も)続きます。
また、会社側も図らずも、OFFJT教育の何十回分に相当する企業に対する愛着心やチームワーク力などを醸成することが可能です。
廃止の頃には、”個人主義的な新入社員が昨今多く、独身寮には入りたくない”といった厚生施設廃止を正当化する論調も見られましたが、実は若者意識が急に変わるはずもなく、器を準備すればそれはそれで効果はあったはずです。
入社以来の同期意識などがかえって社員の同質化などビジネス上の阻害要因になる企業風土も持つ企業もあるかと思いますが、少なくとも入社以来最低10年間の定着を求める企業であれば、独身寮制度は再検討すべき福利厚生制度だと思います。
入社から40年も同じ会社に勤めるといったことが想像できない現代では、社員引き止め策としての社宅制度の復活は意味ないと思いますが、独身寮制度の復活は、一考の要ありではないでしょうか。
ベテランシニアが寮監となり、大浴場を備え付け、寮母さんによる朝夕の食事の提供することにより、入社3年間の離職率低下、メンタル不全の解消にもつながることと確実です(部屋はもちろん個室化が必要ですが)。
独身寮生活にノスタルジーを感じる一中高年の意見でした。