独立人事業務請負人(人事IC)の木村勝です。
2014年4月26日(土)、日経朝刊に「大手7社人事担当者座談会~制約あっても輝ける態勢」という特集記事が掲載されていました。
さすがに業界を代表する先進的な大手企業ばかりであり、ダイバーシティに積極的な取り組みを進めていることがよくわかります。
その中で、「育休の期間を従来の最長3年から2年に短縮」(キリン)という事例が紹介されていました。
昨年春に安倍首相が、育児休業期間を3年に延長する方針を打ち出しましたが、批判意見が続出したことは記憶に新しいところです。
やはり、育児休業期間を長くするより、いかに早く仕事に復帰するかに焦点を当てるべきであり、まずは早期復職に向けた支援と、また復帰後の就業環境整備が第一だと思います。
以前の当方の在職していた会社でも育児休業法を超えた育児休業可能期間を設定していましたが、MAXの育児休業期間取得中に第二子誕生などというケースもあり、会社からの離脱期間が長期化するケースがありました。
また、当方今興味があるのは、育児休業を取得中の人員補充に関する対応策です。
座談会では、やはり「お互いさま」、「穴が開くのが普通と考える」など、各社対応の様子のご紹介がありましたが、各社とも苦労されている様子がうかがえます。
説得力ある欠員補充ルールをつくるためには、”現状の配員が業務量に対して適正に管理されている”という前提が必要ですが、日本企業(特に間接部門)は、この前提があいまいになっているケースが多いと思います。
間接部署の稼働人員(実際に動いている人員数)は明確ですが、その部署あるいはその業務で何人配員(所要人員)するのが正しい姿か? このあたりの管理は、どこの日本企業でも弱いところです。
ジョブディスクリプションが明確でなく、仕事の見える化(マニュアル化・標準化)が出来ていないところが、日本の間接業務の特徴であり、ある意味強みになっている部分だと思いますが、育児休業制度(介護も同様ですが)を考える場合に、最大の課題はこの職場の欠員充足ルールの明確化だと思います。
逆説的な言い方になりますが、間接業務の標準化が徹底されていれば、その業務は海外を含めたアウトソーシング化の即対象となりますので、事務系サラリーマンにとっては、この問題を追及していくことは、自らの首を絞めることにもなりかねません。
繰り返しになりますが、育児休業の課題は、取得するサイドの制度充実だけではなく、不在期間の対応がそのポイントだと思います。
チームで協働して働くことをその強みとする日本企業にとって、チーム力を削ぐことがないような制度導入が重要ですが、根本的な部分に原因があるこのあたりの問題は、なかなか即効的な解決策が出てこないですね。