独立人事業務請負人(人事IC)の木村勝です。
2014年3月28日、厚生労働省から「労働市場政策における職業能力評価制度のあり方に関する研究会」報告書が公表されています。
課題認識としては
”非正規雇用労働者、キャリア形成上の課題を抱える層のキャリアラダー(はしご)として、業界検定といった能力評価の仕組みを整備するなど、職業能力の「見える化」を促進することが喫緊の課題である”
という認識から研究会は始まっています。
検討の方向性としては、
◆「ジョブ型労働市場で、非正規雇用労働者が集積し、キャリアアップの必要性・効果が高く、雇用吸収が見込まれる業種・職種(対人サービス分野など)が重点
↓
◆人材ニーズを直接把握する業界(団体)が、採用・人事の基準としての位置づけ・活用を目指し、現場で求められる実践力をなどの職業能力を直接把握・分析の上、検定などの評価手法を開発・運用。
↓
◆それに対し、国が弾力性を備えた基準などによって質を保証することで、実践性を備えた、新たな業界検定の仕組みを整備 するとしています。
わかりやすく言うと、
・非正規雇用労働者が集まっている「サービス職」や「事務系専門職」の新たな検定制度が必要
・どういうスキル・知識が必要かは、その業種が一番わかるだろうからその業種で検討してほしい
・国はその検定等についてある程度のお墨付きを与える
ということです。
当方も日本自動車工業会労務室にいた時代に、自動車製造業(「組立」職種)における能力評価基準作成に一時参画したことがあります。
自動車産業における「組立」職種は、一番働く人数も多いメイン職種ともいえる職種なのですが、他の技能に比べると基準化が難しい職種です。
自動車の「組立」というと、メインラインでインパクトレンチでボルトを締めるという基本動作が中心のように思えます。
しかしながら、実際に車の組立ライン職場で求められる能力(ある一定レベル層以上ですが)は、ラインの異常を感じ取り、前後工程を見ながら物流、品質などへの影響など最小限にすべく対応をする、といった実は生産管理的なスキル(技能&知識&感性&経験の合わせ技)がポイントになります。
こうした技能は、見える化(=基準化)が難しいというのが実態です。
今回は、ものづくり以外の分野が焦点となっていますので、その難易度の高さは容易に想定されるところです。
要は、企業が採用する際に、”この基準をクリアしていれば即採用!”といえるくらいの担保力のある基準ができるかどうかにかかっています。
(要求される業務レベルにもよりますが、単純技能レベルであれば、人柄・性格などのポイントの方が実際の採用の際のポイントは高いと思います。)
”事務系サラリーマンの売り物(武器)”は、何か?
実効性ある制度づくりは、なかなか難しいと思いますが、人事部員専門性向上をテーマとする当方にとっても避けて通れないテーマであり、継続検討の上、このブログでもぜひ提示できればと思います。