成長戦略の中核「女性の活躍推進」に関して思うこと~「女性問題は男性問題」という視点の重要性~ | ものづくり企業の人事総務をワンストップで専門サポートするインディペンデント・コントラクター(IC独立業務請負人)が日頃思うこと

ものづくり企業の人事総務をワンストップで専門サポートするインディペンデント・コントラクター(IC独立業務請負人)が日頃思うこと

大手自動車会社での30年の人事総務経験を経て,2014年にIC・行政書士として独立しました。グローバル化進展の中、業務のアウトソーシング化など荒波にさらされつつある人事総務部ですが、企業活動を支える総務系業務の重要性・専門性など日頃思うところを語ります

独立人事業務請負人(人事IC)の木村勝です。

先週2014年3月3日、経済産業省と東京証券取引所は、女性活用を業績向上につなげている東証1部銘柄、いわゆる「なでしこ銘柄」を公表しています。

この「なでしこ銘柄」、1業種1銘柄と厳しいセレクションになっていますが、今回は日産自動車・東レ・ニコンなどおなじみの顔ぶれを含み、17銘柄が選定されています。

また、昨日13日日経朝刊では、内閣府が12日に発表した2060年に向けた長期の労働力人口予測が報じられていました。

予測によると、女性や高齢者の労働参加が全く進まない最も悲観的なシナリオの場合、労働力人口は2060年に3795万人と今より42%減少という驚くべき数字が出ています。

「女性の活躍推進」

安倍内閣における成長戦略の中核ともいえる政策課題です。

「女性の活躍推進」というと、どうしても女性に焦点を当てた制度見直しなどに目が行きがちですが、独立行政法人経済産業研究所(RIETI)や労働政策研究・研修機構(JILPT)等で、「今後の女性活躍」に関して少し違った視点から、興味深い研究が行われています。

やや旧聞となりますが、昨年7月13日、本郷の東京大学社会科学研究所にて、”『日本の人事を「科学」する~グローバル化時代における雇用システムを考える~』”という国際シンポジウムが行われました。

当日は、当方も参加させて頂いたのですが、その発表の中で、「女性の活用に関する経営上、政策上の含意」として、「男性のラットレース均衡(ある時期までみんなで競争、頑張ろう!)の変更が、女性の活用を高める最も効果的かつ実行可能は方策」という提言がなされています。
※その背景には、「労働時間と昇進確率の関係が女性は高い」というデータがあります。

また、先週2014年3月5日には、内閣府経済社会総合研究所(ESRI)主催で、「経済における女性の活躍に関する共同セミナー」が開催されています。

このセミナーには、当方参加できなかったのですが、公表されている当日の資料を見ると、労働政策研究・研修機構の濱口桂一郎氏から、「男性を含めた働き方の見直し」という発表がなされています。

7月の国際シンポジウムと同じ切り口からの研究だと思いますが、「女性問題は男性問題」として、”男性の働き方が多様化しなければ、女性の働き方も「良い」多様化にならない”という視点が打ち出されています。

「女性の活躍推進」

今年の夏までに議論がまとめられることになっている「多様な正社員」制度とも密接に関連しています。

今後の日本にとって雇用・労働分野における最重要課題であるこのテーマについては、企業人事部も手をこまねいていることのできない重要課題です。

人事部内で制度検討する際にも、こうした産学官連携による研究成果、活用できそうです。
ぜひ一度、「独立行政法人経済産業研究所(RIETI)」のHPをご覧頂ければと思います。