精神障害者雇用義務化の記事を見て(2013年3月15日) | ものづくり企業の人事総務をワンストップで専門サポートするインディペンデント・コントラクター(IC独立業務請負人)が日頃思うこと

ものづくり企業の人事総務をワンストップで専門サポートするインディペンデント・コントラクター(IC独立業務請負人)が日頃思うこと

大手自動車会社での30年の人事総務経験を経て,2014年にIC・行政書士として独立しました。グローバル化進展の中、業務のアウトソーシング化など荒波にさらされつつある人事総務部ですが、企業活動を支える総務系業務の重要性・専門性など日頃思うところを語ります

2013年3月15日の毎日新聞夕刊に「精神障害者雇用義務化」との記事が
掲載されていました。

障害者雇用に関しては、厚生労働大臣の諮問機関「労働政策審議会」の分
科会「障害者雇用分科会」で実質的な検討・議論が行われます。

具体的な内容を確認すべく、厚生労働省HPをのぞいてみました。

分科会は、3月14日に開催され、その中で「今後の障害者雇用施策の充実
強化(案)」がまとまったという状況のようです。

意見書では、精神障害者雇用だけについて論じているわけではなく、もう少し
幅広い観点で検討がなされています。

その中でも一番の論点が「精神障害者雇用」に関する事項という位置づけです。

新聞記事を見ると、あたかもすぐに精神障害者雇用義務化決定のような感じを
受けますが、内容をよく見てみると、以下のような感じです。

<基本的な考え方>
精神障害者の雇用義務化という基本方針を定めた上で、一定の猶予期間を経
た後に段階的に実施する

今回の意見書(案)では
 「精神障害者を雇用する上での企業に対する支援策は十分とはいえな
 い状況にあることから、企業が精神障害者の雇用に着実に取り組むた
 めに、企業に対する大幅な支援策の充実を進めつつ、実施することが必
 要である」


 「これらを踏まえると、精神障害者を雇用義務の対象とすることについて
 は、企業が精神障害者の雇用に着実に取り組むことができるよう、十分
 な準備期間を設けることを前提とした上で、企業に対する大幅な支援策
 の充実を進めつつ、実施することが必要である。」

 という記載になっています。

議論のプロセスが行間ににじみ出るような文章ですが、まずは新聞報道の通り、
「精神障害者の雇用義務化の”方針”が決まった」というのが正確な状況の
ようです。

障害者雇用分科会の委員名簿を見てみると、通常の公益・使用者・労働側の3
者構成の審議会ではなく障害者代表の方も委員名簿に入っています。

委員名簿が、「労働政策審議会障害者雇用分科会委員名簿」となっているのは、
この辺の事情を反映した記載なのかもしれません。

身体に続き、知的障害者の雇用について義務付けた1998年法改正以降、身体
知的障害者の雇用は着実に前に向かって進んでいるかと思いますが、やはり精神
障害者雇用については、遅々として進んでいないというのが事実だと思います。

メンタルによるうつ病などの増加は身近に感じるところですし、当方知っている範囲
でもメンタルから休職→障害年金を受給されている方がいます。

今回の精神障害者雇用義務化方針の決定は、精神障害者雇用促進の第一歩に
なる意見書だと思います。

明日3月21日にも障害者雇用分科会が開催される予定になっています。

この「意見書」をベースに更に検討がなされ、年内に諮問答申、来年度改正法案提
出といったスケジュールで今後検討が進むことになるかと思います。

新規採用もままならない中小企業にとっては、今回改正前の(現行)法定雇用率の
達成すら難しい状況ですが、この問題は、「精神障害者の雇用促進」という限定的
な問題として捉えるのではなく、3万人近い自殺を抱える現在の日本の底流に
流れる働き方・生き方にも影響する大きな課題として捉えるべき問題
だと思い
ます。
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